2019年11月製作
キーキャップ向けのフォントを自作してみました。
市販のキーキャップには私が満足できるデザイン(特にフォント)のものはほとんどありませんでした。まあ、だからといって使えないというわけでもありませんが。
いくつかキートップを自分でデザインしてみたのですが、キーボード向けのフォントについてさらにいろいろ考えてみました。
私としてはキートップのフォントはサンセリフ体でも問題はありません。しかし、大文字の「I」(アイ)が縦線1本というのは本当はいやなのです。セリフ体のように上下に短い横線があってほしいのです。
そのため、サンセリフ体は最初から候補から外れていました。
ではセリフ体にすればいいのかというと、これは線が細くて視認性がちょっと悪いです。これも候補からは外しました。
さて、そんな私の要望を満たす都合のいいフォントがあるのでしょうか。
いろいろ調べてみて、スラブセリフ体を選択しました。スラブセリフ体は線の太さは均一だけどセリフがあるという中間的な書体です。
Laplandというフォントが私の要望にかなり近いのですが完璧ではありません。それならば自分で作るしかありません。線の太さが均一なので自作も難しくはありません。
デザイン作業はIllustrator CS6を使いました(2019年時点でCS6を使っているのはかなりまずいことですが)。
デザインでは次のような点に注意しました。
・数字0は「スラッシュ・ゼロ」
・Qの突起は丸を突き抜けている
・大文字 H、I、N、O、S、X、Z
上下左右の区別がつくようにする。
DSAキーキャップだとどちらが上なのかわからなくなるので、その対策としての提案です。
・キートップでだけの使用なので字間、行間は一切考慮しない。
・記号類も一通り作成する。
・小文字は作成しない。
完成してみると、ちょっと線が細いですかね。セリフももう少し長くてもよかったようです。
完成したデータを置いておきます。PDFです。キーキャップはX-keys Keycap Cherry MX Compatibleを使用します。Ergodoxで使用するつもりだった仮データです。
フォントの名前は動物名にすることを最初に決めました。
「タヌキ」の名称は既に使われている例がありますので採用せず。
そこで、タヌキに似たアナグマを採用することにしました。アナグマは東京都23区でも少数が生息しています。ただ、23区では絶滅寸前とも言える状況です。私が今、特に注目している動物です。
日本語では「アナグマ」ですが、学名は「Meles anakuma」。フォント名では学名の方の呼び方を採用しました。
矢印キーはアナグマの足跡にしています。
2020年6月、線の太さ、バランスを見直したVer2を作成しました。
ID75キーボードに実装した写真で紹介します。
平仮名の「ん」がありますが、これは築地5号書体をスラブセリフ風にアレンジしたものです。今回は一部英小文字も作成しました。
私としては結構気に入ってます。
製品に採用してくれるところはどこかありませんかねぇ。