TTTキーボード研究室


キートップを自由にデザインするには

自作キーボード界隈では微に入り細に入りいろんなことにこだわる人々が多いのですが、「キーキャップのフォントが気に入らねえ!」と言う人はとても少ないように見えるのが不思議です。
皆さん、市販のキーキャップで満足しているのでしょうか?

Cherry軸が普及したことでキーキャップのデザインもいろいろなものが販売されるようになってきました。しかし希望通りのデザインでないことはよくあります。
Macユーザーの場合はコマンドキーなどの特殊なデザインのキーが必要ですが、それらに対応したキーキャップセットはなかなかないものです。
独自の複雑なキーマップ、レイヤーを設定している場合、それに合う印字のキーキャップは存在しません。

キーボードが自作できる時代になったのですからキーキャップも自作できないかと思うのですが、それはまだなかなか難しいようです。いろいろな方法でキーキャップを造形する試みは行われていますが、手間がかかったり、お金がかかったりと大変なようです。気軽にデザインを変更するなどできません。

簡単にデザインを変えたいというその願いをかなえてくれる↓このようなキーキャップが販売されています。

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キーキャップが2つのパーツに分かれており、間に文字などを印刷した紙をはさみこむ構造になっています。簡単にいろいろなデザインを試すことができるので、試行錯誤も楽しめます。

左2つはP.I. Engineeringが販売しているキーキャップです。
「X-keys Keycap Cherry MX Compatible」で検索できます。
左がTransparent(透明)、右がGrayです。他にもベース側に色(透明)がついているものもあります。
LEDで発光させるならTransparentを使います。ただしうまく光るかどうかは別問題です

右2つは国内で販売されています。
これらは「POS用プログラマブルキーボードKB200」つまりレジ端末として使うためのキーボード向けのキーキャップです。
この端末はCherry軸を使用しているので交換用キートップもCherry軸互換なのです。
左がアイボリー(白ではない)、右がブラックです。

形状はKB200用もX-keysもまったく同じ…ではありません! 両者の透明カバーを交換してみると、はまりません! 具体的に言うと、透明カバーはKB200用の方が少し大きいです。
よく似ていますが製造時の金型が異なるものであるのは疑いありません。製造工場は別なのだとわかります。

また、パーツのかみ合わせやCherry軸へのはまり具合も微妙に違っています。精度はKB200用の方が良いです。X-keysはカバーがポロリすることもよくあります。
LED光にこだわらなければKB200用の方がいいと思います。

カバー部分は、X-keysの方がややざらざらしており、透明度がちょっとだけ低いです。ただ、印字面とは密着しますので視認性に影響が出るほどではありません。

キーキャップの仕様はいずれもDSAです。

●購入方法

KB200用は楽天市場で販売しています。「kb200 キートップ」で検索してみてください。

X-keysはAmazon.comで販売されています。
「X-keys Keycap Cherry MX Compatible」で検索してください。
2019年までは少し安かったのですが、2020年2月ごろ値上げされ、それが今も続いています。2020年7月現在は一部品切れになっています。
日本Amazonでも発売されていますが、10個2000円以上というのはいくらなんでも高すぎます。

X-keysホームページからも購入できます。ただし送料が高いのが難点。大量にまとめ買いした方がいいでしょう。

※追記:2021年末現在、このタイプのキーキャップは取り扱い店舗が少なく、値段も割高になってしまっています。おすすめしにくい製品になってしまいました。

●テンプレート

KB200シリーズ/KB20A/KB58A/KB840/KB980用キートップ簡易テンプレート

キートップのデザイン用のテンプレートは上記ページにあります。これを利用するのが手っ取り早いです。

本格的にデザインするならAdobe Illustratorなどグラフィックソフトウェアを使いましょう。

KB200用テンプレート(15mm)

Xkeys用テンプレート(14.4mm)

↑は私が自分で作ったテンプレートデータ(PDF)です。
KB200用の印字面の横幅は15mmなのですが、X-keysではそれだと少しだけ大きいように感じたので、このデータでは14.4mmにしています。

●デザインのコツ

フォントは既製のものを使いましょう。自分でフォントをデザインするのは大変です。英文字ならフリーフォントはたくさんあるのでいろいろなデザインを眺めてみることをおすすめします。パソコン(特にWindows)にもともと入っているフォントは必ずしもよくありません。

文字は大きすぎても小さすぎても使いづらくなります。文字の大きさは実際のキーボードを参考に決めるとよいでしょう。
文字の位置はガイドラインなどを使って縦横そろえると見映えが良くなります。マウスで位置を決めるよりも座標の数字で調整した方がより正確に位置がそろいます。

最初は部分的に、記号キー(escキーや矢印キー)だけ、あるいは文字キーだけ交換してみることから始めるのがいいと思います。

キーキャップも自作デザインできる時代になりました。ハンダごてよりもこちらの方がずっと敷居が低いです。 興味のある方はぜひ挑戦してみてください。


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