TTTキーボード研究室


LEIA clavierハードウェア製作

●ベースはDumang DK6 mini

LEIA clavierキーボードはDumang DK6 miniキーボードを使用して製作している。Dumangキーボードは1個1個独立したキーモジュールを磁石でベースボードに固定するもので、キーを自由に配置できる。独自デザインのキーボードの試作に向いたキーボードである。

宮本隊長はPCBから製作することもできないし、3Dプリンタのノウハウもない。そのためDumangキーボード+プラ板工作という製作方法を採用することにした。
Dumangキーボードって本当にありがたい、と思いました。

なお、Dumangキーボードは2025年現在、入手困難である。

●キースイッチ

LEIA clavierキーボードは2段鍵盤チェンバロを模している。
上段と下段の高さに差をつけるため、キースイッチは
上段=Cherry MX Silent Red(通常のサイズ)
下段=Outemu Low Profile Red (ロープロファイル)
を採用した。

※新しいOutemu GTMX ロープロファイルを採用しなかったのはOutemu Low Profile Red の手持ち在庫が残っていたため。Cherry MX Silent Redも余っていたものを使用。

最上段は本家チェンバロにならって「レジスター(段)」と呼ぶことにする。この段の高さは上段に合わせてある。

●簡易版

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簡易版では、工作はせずに販売されているキーキャップだけで構成することにした。

短鍵(白)はDSAの1.25uを採用。
長鍵(黒)はロープロファイルで手に入りやすいものを探して、THT(Tai-Hao Thins)ロープロキーキャップ(MX) 1.5Uを採用した。国内ではTALPKEYBOARDで取り扱っている(2025年現在)。

※チェンバロを模しているのでピアノとは白黒逆になる。

レジスター段は、今回は透明カバー付きキーキャップを採用しているが、背の高いキーキャップなら何でもいいだろう。

各段に少しずつ高さの差があり、なんとかチェンバロっぽくなっている。

IMG_9217

●鍵盤版

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プラ素材を接着して鍵盤を製作する。本当なら3Dプリンタの方が精度良く作成できるが、宮本隊長にそのノウハウが無いためプラ素材を使用した。

プラ板をまっすぐ切断するというのは意外と難しい。そこでタイル状に溝が切ってある製品を利用することにした。

エバーグリーン 70EG4515 プラシート タイル 浅溝タイプ 1.0×4.8mm

これを切断してプラモ用接着剤で積層していく。
ただし、後からわかったことだが、鍵盤と鍵盤の間は1mmほどの隙間を空けておく必要がある。十分な精度が取れないため、この隙間は必須となる。この1mm幅の切断はニッパーで行うが、全部接着してからだと切断できないので、1枚か2枚を接着しながら切断をしていくことになる。

接着後は側面を耐水ペーパーで整えた。

ステム=十字形の軸は既存のキーキャップを使用した。
ただし、頂面が平らでないとうまく接着ができない。ほとんどのキーキャップは頂面がくぼんでいて使えない。
今回採用した「Chosfox Mahjong Keycaps」というキーキャップも頂面がくぼんでいるが、周縁は平らになっており、なんとか接着は可能である。

ただし、短鍵は幅が狭いため、はみ出る部分はエンドニッパーとニッパーで切断しなければならない。
また、下段はロープロファイルキースイッチのため、キーを押し下げるとキーキャップの裾がキーモジュールに当たる。そのためやはりエンドニッパーとニッパーで裾を短くしている。
エンドニッパーは意外と役に立つ道具なのでおすすめである。

手こずったのはプラ素材とキーキャップ(PBT)の接着だった。
最初はプラモ用接着剤を使ったが、ちょっとした衝撃ではがれてしまった。
次に瞬間接着剤(シアノアクリレート)を使ったが、これも衝撃ではがれることがあった。どうもPBTは接着しにくい素材らしい。
どうしたものかと悩んでこれまでと違う成分の物をダイソーで選んだ。

プラスチック用ボンドGPクリヤー(製造元=コニシ)
成分=スチレンブタジエンゴム

これでしっかりと接着できた。数カ月使用してもはがれることはない。

長鍵の黒い部分は、またまたエバーグリーンのプラ板を上面にのみ接着している。

エバーグリーン プラシート ブラックプレーン 厚さ0.25mm 70EG9511

厚さ0.25mmなのでデザインナイフで簡単に切れる。なお、つや消し黒である。
つやありがほしいならば、アクリル板を使用すると良い。こちらはエバーグリーンではないが厚さ0.5mmという製品がある。

※本当ならば鍵盤は3Dプリンタで一発成形したほうが絶対楽である。ノウハウがある方ならばぜひ挑戦してほしい。

IMG_9207

このように上段はかなりプラ材を積み重ねている。
この写真ではレジスター段が低すぎるので、後日、背の高いキーキャップを作成した。

●問題点

・鍵盤のガタつき

鍵盤はかなり大きく、下段の長鍵は3uに相当する大きさになる。このサイズだと、鍵盤がガタつくのが気になってしまう。具体的には、鍵盤がシーソーのようにぐらつく、鍵盤が軸を中心に回転するようにぐらつく、といったことになる。
1uキーキャップなら気にならないのだが、大きな鍵盤では小さなガタつきも大きくなってしまうのだ。スタビライザーをつけるべきところだが、Dumangキーボードではそれは不可能である。
上段は最初はKailh Box Red Proを使用していたのだが、ガタつきが気になるほどだった。その代わりとして手元に数があったCherry MX Silent Redに取り替えてみたところ、ガタつきはある程度減った。もちろん完全になくなったわけではない。
下段のOutemu Low Profile Redはガタつきはそれほど気にならない。

キースイッチの軸のガタつきは避けられないことではある。これがLEIA clavierキーボードの難点とは言える。

なお、簡易版の方は鍵盤が小さいのでガタつきは気にならない。

・桁でキーモジュールのずれを抑える

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LEIA clavierキーボードでは写真のようにキーモジュールの間に桁(けた)をはさみこんでいる。これはキーモジュールがずれないようにするためである。

Dumangキーボードのキーモジュールの磁力は強いのでずれにくい。だが、LEIA clavierキーボードで使っていると微妙にずれていく。LEIA clavierキーボードでは前後方向に隙間が空いているため、打鍵するとその方向にずれていってしまうらしかった。
普通のキー配置ならば、前後にもキーモジュールが接しており、打鍵による力を受け止めることができる。ところが単独だと磁力より打鍵力の方が勝ってしまうようだ。

そこで桁をはさみ込み、ずれを抑え込もうと考えたのだった。桁は、余ったプラ素材や、断面が四角パイプ形状のプラ素材を使用した。これでずれなくなった。


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