タヌキなどの情報は東京タヌキ探検隊!ホームページにも掲載しています。

東京タヌキ探検隊!ではタヌキなどの目撃情報を常時収集しています。
連絡先などの詳細はこちらのページをご覧ください。
対象地域:全国
対象動物:タヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネなど(野生の哺乳綱食肉目)

東京都23区内のタヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネの目撃情報の集計と分析(2017年1月版)

※無断転載禁止

執筆:宮本 拓海 (東京タヌキ探検隊! 隊長)
2017年1月


■概要

・宮本(東京タヌキ探検隊!)による東京都23区内でのタヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネの目撃情報の集計を報告する。
・今回の集計期間は2014年〜2016年。タヌキは290件、ハクビシンは733件、アライグマは41件、アナグマは11件、キツネ0件が含まれる。
・キツネは2010年の目撃情報が得られた。東京都23区内ではこれが初めての目撃例となる。

・東京都23区以外の全国の目撃情報についても簡単に報告する。東京都23区以外の目撃情報数はまだ非常に少なく、分析できる規模ではない。

※東京タヌキ探検隊!とは

東京タヌキ探検隊!は全国のタヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネなどを対象に目撃情報の収集、調査分析を行っています。これまでに4455件の目撃情報を記録してきました(2016年末現在)。
東京タヌキ探検隊!の原形は1999年にホームページで東京都23区のタヌキの目撃情報の提供を呼びかけたことに始まります。シチズンサイエンスやオープンサイエンスの世界的にも先駆的な試みでした。発想も実践もアマチュアによるものという非常に珍しい例でもあります(隊長の宮本は職業専門家ではない)。
これまでの成果として、東京都23区でのタヌキ、ハクビシン、アライグマの生息分布の解明、生息数の推定、アナグマ生息の報告などがあります。

■前文

今年もタヌキ、ハクビシン、アライグマの目撃情報の集計を報告する。今回は2014年〜2016年の目撃情報の集計結果を報告する。

文中に「DBN1234」のように記されている数字は、東京タヌキ探検隊!データベースで目撃情報に割り振られた通し番号である。この番号はデータベースに記録された順であり、実際の目撃年月日の順ではない。後の検証をやりやすくするためにできるだけこの報告書にも記載していく。


■2016年の事件

目撃情報の報告の前に、2016年の東京都23区でのタヌキ関係の事件を振り返る(全国の事件については後述)。

10月6日、宮内庁は天皇陛下が共著者と執筆されたタヌキの食性に関する論文について発表した。タイトルは「Long-term Trends in Food Habits of the Raccoon Dog, Nyctereutes viverrinus, in the Imperial Palace, Tokyo」で、全文英語である[文献1]。詳細は参考文献を参照のこと[文献2]。
天皇陛下の皇居のタヌキの論文は2008年に続き2つ目になる。内容はどちらもタヌキのフンの内容物を分析した調査研究についてである。今回の論文では2009年から2013年の5年間、毎週同じ場所で採取したフンを分析している(毎週必ずフンがあったわけではない)。
この論文ではフンの採取場所も記載されているため、東京タヌキ探検隊!のデータベースにも記録した(2013年の記録として。そのため今回の報告の集計には含まれていない)。(DBN4372)

10月24日午後11時ごろ、中央区の晴海通りでケガをしたタヌキが警察に保護された。テレビ映像によるとその場所は黎明橋の北端付近だったようだ。当然、勝どきや晴海にタヌキが定住しているわけではなく、定住地から長期移動してきた個体と推測される。この場所から最も近い定住地は浜離宮恩賜庭園(中央区)となる。直線距離だと約1kmだが、橋を渡らねばならないことを考えると約2kmの道のりを歩いて来たと推測される。(DBN4374、テレビ朝日)
一般からの目撃情報では、さらに先の有明(江東区)での目撃もあった。浜離宮恩賜庭園からは4〜5kmの距離になる。東京タヌキ探検隊!データベースの中でも最も長距離の移動例となるようだ。(DBN4411、2015年)

2016年は事件とは言えないがメディア関係で面白い現象があった。これも後述する。


■目撃情報の集計

収集された目撃情報は、データベース上で記録されている。記録する際、複数の目撃情報を1件にまとめることなどがある。そのルールは次のようになっている。

1.原則として、1つの目撃情報を1件として扱う。
2.同じ目撃者が同じ場所で繰り返し目撃している場合は、1件として数える。例えばタヌキが住宅の庭に来る場合や、ネコのエサやり場に来る場合がこれにあたる。
3.毎年同じ場所で目撃が繰り返される場合は、年ごとに1件として扱う。例えば、毎年営巣が行われていることが確認されている場合は各年を1件として集計している。
※この項は、2015年以降は「同じ場所で目撃が繰り返される場合は、半年が経過したら新たに1件として扱う。」に変更した。
4.同じ個体(または同じ家族)であると推測される場合でも、場所・日時・目撃者が異なっていれば目撃情報別に個別に扱う。

せっかくの目撃情報がデータベースに記録されない場合がある。位置情報・年があいまいな場合は原則として記録されない。位置情報が「丁目」すらわからない場合はまず記録されない。
伝聞情報(いわゆる「人から聞いた話」)も日時や場所があいまいなことが多く、多くは記録していない。
駆除業者や行政からの聞き取りは行っていない。

・目撃情報数の推移

次のグラフは東京都23区での目撃情報数の推移である。東京タヌキ探検隊!のシステムが十分に機能するようになったのは2009年頃以降で、それまでは目撃情報はほとんど得られなかった。その理由はパソコン、インターネットが普及していなかったためである。2009年頃に生息数が急増したわけではない。

タヌキの目撃情報数は2009年以降ずっと下降してきたが、2016年は増加した。また、2016年はハクビシンの目撃情報数も大幅に増加した。これは生息数が増えたわけではなく、メディアの影響が大きかったと思われる。その影響とは次に述べる新聞とテレビによるものである。

・新聞記事の影響

2016年4月26日、朝日新聞夕刊(東京版)に「東京タヌキ、どこへ 減る目撃情報、捕獲され過ぎか」という記事が掲載され、東京タヌキ探検隊!の調査が紹介された[文献3]。記事の内容は東京都23区のタヌキが減少傾向であることについてであった。これは東京タヌキ探検隊!の2016年の報告書を元にしている。この記事掲載の後、メールでの目撃情報がいつもより増えた。
ただし、情報提供者の全員がこの新聞記事を見たわけではなさそうだった。というのは、記事ではタヌキしか取り上げていなかったのにハクビシンの目撃情報が多かったからである。新聞記事はネット上でも公開される。その結果、東京タヌキ探検隊!ホームページのネット検索の順位が上がり、より多くの人がホームページを閲覧したのではないかと推測される。
新聞は以前ほどの影響力はなくなりつつあると世間的にも言われており、実際それには同意するが、今回のような思わぬ影響力も未だ持っているのも確かである。

なお、新聞に掲載される時にはホームページのURLが掲載されることが非常に重要である。URLは知らなくても、「東京タヌキ探検隊」でネット検索すればすぐに探し当てられるはずなのだが、実際にはURL掲載の有無はその後のアクセス数に大きく影響する。今回の記事ではURLも掲載された。(記者の皆様、この点はご注意ください。)

・テレビの影響

東京タヌキ探検隊!のホームページは「レンタルサーバー」というサービスを利用して開設している。つまり、自宅のパソコンにホームページのデータがあるわけではなく、レンタルサーバー運営会社が持つサーバーシステムを間借りしているのである。そのため、データ容量や単位時間内でのデータ転送量などには制限がある。普通に使用している限りではそれが問題になることはない。
ところが、何らかの理由でホームページに多数のアクセスが集中することがある。そうすると決められた単位時間内でのデータ転送量の制限値をオーバーしてしまう。その場合、データ転送が停止される、つまりホームページの閲覧ができなくなってしまう。
以前はYahooニュースでタヌキ事件が紹介されると、そのページに東京タヌキ探検隊!へのリンクが置かれ、アクセスが急増し閲覧できなくなるということが2011年と2012年に1回ずつあった。
また、Googleアナリティクスを利用してアクセス解析を行なうと、タヌキ関連の事件が報道されるとデータ転送量が急増することがわかる。

2016年はデータ転送量が上限値に近くなるという事態が続けて発生した。
1回目は2016年9月11日(日)夜、「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)で新宿の「謎の生物」が取り上げられた時だった。番組内の「新宿DASH」という企画で、新宿区下落合でセンサーカメラで撮影された疥癬症のタヌキの映像が紹介された(同番組では「夏毛のタヌキ」とされていたが、実際には疥癬症による脱毛症状のようだった)。
2回目は2016年9月26日(月)夜、「クローズアップ現代+」(NHK総合テレビ)でハクビシン、アライグマ被害が紹介された。
3回目は2016年11月20日(日)夜、再び「ザ!鉄腕!DASH!!」でアクセス数が急増した。センサーによるタヌキ映像、ハクビシンのツメ跡が紹介された。
4回目も2016年12月25日(日)夜の「ザ!鉄腕!DASH!!」だった。この放映ではセンサーカメラにハクビシンが映っていた。

これまでアクセスが急増した場合、ほとんどはどこかのホームページからのリンクによるものだった。ところがこの4回のアクセス急増では特定のリンク元があったわけではなかった。つまりGoogleなどのネット検索から直接アクセスしていたということだった。
これは番組を見ながらスマホでネット検索をした人が非常に多かったことを意味している。どうやら「スマホで検索」という新しい生活スタイルが定着しつつあるようだ。

なお、これらの番組では東京タヌキ探検隊!も宮本隊長もまったく登場しておらず、取材などの打診もまったくなかった。
「ザ!鉄腕!DASH!!」では「100年前に新宿区から消えたと言われるタヌキ」と説明されていたが、下落合では10年以上前からタヌキの生息がよく知られている。新宿区全体でもタヌキが絶滅したことはないと推測される。このことは調べればすぐにわかることである。事前の情報収集が不足していた番組内容だったと言える。

「ザ!鉄腕!DASH!!」の放映内容からはタヌキ、ハクビシンの撮影場所が特定できたため、東京タヌキ探検隊!のデータベースにも記録した。(DBN4454、4455)


■目撃情報の分布地図の仕様

分布地図の仕様は次の通り。

・座標系は世界測地系を採用する。
・メッシュは約2km×約2kmに相当する。正確には、東西方向に90秒、南北方向に60秒で近似している。これは地域メッシュ(JIS X 0410)での2倍メッシュと同一のものである(辺の長さが基準地域メッシュ(第3次メッシュ)の2倍のメッシュ)。

目撃位置の詳細が不明であるため誤差のあるプロットもある。
タヌキでは誤差(誤差半径)の最大は200m。誤差100m以上は1件。平均誤差は約6m。
ハクビシンでは誤差の最大は100mで、誤差100m以上は1件。平均誤差は約4m。
アライグマでは誤差の最大は50m。平均誤差は約5m。
大半は「番地」よりも詳しい位置が判明しており、誤差0mの例も少なくない。

「番地」レベルでの誤差は約50〜200mに相当し、これは予想されるタヌキの行動範囲内に収まる。そのため「番地」レベルの位置情報が把握できれば実用上は十分である。ハクビシン、アライグマの行動範囲は不明だがタヌキよりも極端に広いとは考えにくい。


■タヌキの目撃情報の集計

2014年〜2016年の目撃情報は290件あった。2014年は107件、2015年は82件、2016年は101件である。以前の報告書と数字が異なるのは、2016年に入ってからも前年までの目撃情報が寄せられたためである。
タヌキの目撃数は2009年以降、減少が続いていたが2016年は増加した。この増加は上記のようにメディアの影響によるものと思われる。

情報源の分類は以下の通りである。

メール
284
メディア
3
ホームページ
2
宮本
0
その他
0

・メール=宮本がホームページ(東京タヌキ探検隊!)で情報収集を呼びかけ、メールで寄せられた情報。
・メディア=新聞、テレビなどで紹介された情報(ホームページに掲載された情報も含む)。
・宮本=宮本が直接確認した情報。または聞き取りなどで収集した情報。
・ホームページ=インターネット上のホームページ(ブログを含む)に掲載されていた情報。

このようにほとんどはメールによる情報である。

各区毎の目撃件数を多い順に並べると次のようになる。

世田谷区
58
杉並区
38
練馬区
27
新宿区
20
渋谷区
19
足立区
18
文京区
14
大田区
13
葛飾区
11
中野区
10
豊島区
10
千代田区
9
北区
8
江戸川区
7
板橋区
6
港区
5
台東区
5
品川区
4
江東区
3
目黒区
3
中央区
1
荒川区
1
墨田区
0
290

多数の生息が予想される練馬区と板橋区で目撃情報数が少ない「練馬区のパラドックス」現象[文献4]は、練馬区ではかなり改善されてきているように見える。しかし、次に見るように面積辺りの目撃情報数は少なく、やはりパラドックスな状態は解消されていない。

面積当たりの目撃件数を多い順に並べると次のようになる。

件数 面積 件数/面積
渋谷区
19
15.11
1.26
文京区
14
11.29
1.24
杉並区
38
34.06
1.12
新宿区
20
18.22
1.10
世田谷区
58
58.05
1.00
千代田区
9
11.66
0.77
豊島区
10
13.01
0.77
中野区
10
15.59
0.64
練馬区
27
48.08
0.56
台東区
5
10.11
0.49
北区
8
20.61
0.39
足立区
18
53.25
0.34
葛飾区
11
34.80
0.32
港区
5
20.37
0.25
大田区
13
60.66
0.21
目黒区
3
14.67
0.20
板橋区
6
32.22
0.19
品川区
4
22.84
0.18
江戸川区
7
49.90
0.14
荒川区
1
10.16
0.10
中央区
1
10.21
0.10
江東区
3
40.16
0.07
墨田区
0
13.77
0.00
292
618.80
0.47

面積はkm2。東京都ホームページによる。その元データは総務局行政部長通知「東京都区市町村別の面積について」による平成26年10月1日現在の数値。ほとんどの区で今までの数値と微妙に異なっている。

渋谷区が首位ということに驚かれるかもしれないが、これは杉並区、新宿区での目撃が少なくなったために相対的に順位が上がったということである。
全体の傾向は例年と同じである。おおざっぱには上位(1.0以上)、中位(0.5以上1.0未満)、下位(0.5未満)に区分できる。


■タヌキの目撃分布図

メッシュ地図を下に掲載した。
これまで通り、北西部に偏った分布が確認できる。1メッシュ当たり目撃件数の最大は15件である。
大田区で突出しているメッシュがあるのは熱心なウォッチャーがいるためである。


■タヌキの目撃例の分析

それぞれの目撃情報には興味深いものも含まれる。今回集計された情報を対象に紹介する。

・死亡例

死亡したタヌキの目撃例は2件あった。自動車にひかれたと思われる例は1件だった(DBN3292)。実際には交通事故死する例は少なくないと考えられる。鉄道事故と思われる例は1件だった(DBN2956)。

・ためフン

タヌキのフンの例は3件あった(DBN3319、4083、4454)。

・疥癬症、脱毛症状

何らかの脱毛症状が見られた例は57件あった。
全目撃数に対する割合は約20%である。2014年は20件、2015年は24件、2016年は13件である。2015年1月〜3月、世田谷区で同一個体と見られる脱毛症状のタヌキの目撃情報が8件あった。
疥癬症が流行しているように見えてしまうが、「珍しい外見」「異様な姿」のため目撃情報メールにつながりやすいという面もある。
区毎の件数の上位は世田谷区18件、新宿区8件、渋谷区8件である。総目撃数が多ければ脱毛症状の目撃例も多くなる傾向があるが、必ずしも相関関係があるわけではないようにも見える。
昼間の目撃は34件で、全体の半数を超える。疥癬症だと裸同然の姿になるので、冬は暖かい昼間でないと活動できないのかもしれない。また、夜間は毛並みの視認が難しいということもあるだろう。

月別の目撃数は次の通り。

件数
1月
8(3)
2月
13(3)
3月
6(2)
4月
6
5月
3
6月
1
7月
4
8月
1
9月
2
10月
3
11月
4
12月
6

括弧内は世田谷区の同一個体と見られる件数である。
冬の目撃が多い。前述のように冬は昼間に活動する可能性が高いために発見率が高いのかもしれない。そのため本当に冬に発症率が高いかどうかはわからない。

・イヌとの遭遇

タヌキがイヌに遭遇する例は15件あった。イヌが興奮する(吠える)例が1件、何も反応しない例が7件、イヌがタヌキに気づかない例が1件である。タヌキの方も、ある程度の距離があればイヌと人間の様子をうかがう例もある。イヌがリードでつながれていることを見切っている節もある。
タヌキがイヌを威嚇する例が1件あったが、このタヌキは疥癬症で毛が抜けていたという(DBN2935)。タヌキがイヌや人間を威嚇する例は非常に珍しい。

イヌについては犬種と年齢もたずねているが、件数が少ないため特に分析はしていない。全般的には最近のイヌはよくしつけられているせいかとてもおとなしい印象である。

・ネコとの遭遇

タヌキとネコが遭遇する例は35件あった。これにはネコ用に置いたエサを食べに来た例(ネコには直接遭遇していない場合もある)が含まれる。ネコのエサを食べた例は19件。この他にもエサを食べずに去った例、ネコのエサやり場に姿を現した例が複数ある。
宮本が直接観察した例では、タヌキの方がネコよりも強い。しかしネコがタヌキを威嚇したり、ちょっかいを出すこともあった。過去の目撃情報でも、タヌキが強かったり、ネコがタヌキを追いかけたりといった例がある。全体としてはタヌキの方が優勢のようだ。
野良猫へのエサやり場にタヌキが現れる例は各地で発生していると推測されるが、ネコ担当者はいろいろと肩身の狭い思いをしているせいか、あまり外部に助けを求めないようにも見える。ネコとタヌキのトラブルについては、筆者が個別に対応しているので、ぜひメールで知らせてほしい。

・河川落下

河川落下は1件あった(DBN4058=仙川、世田谷区)。
これまでの事例から推測すると、タヌキは誤って落下したのではなく、道路側溝などからつながる排水管を通って河床へ行き来している可能性が高い。

・目撃月

グラフを下に掲載した。月日が不明な目撃例は集計していない。いつもなら10月が最多、5月が最小となるが、今回はそうなっていない。

・目撃時刻

グラフを下に掲載した。時刻が不明な目撃例は集計していない。18時から24時の目撃が多いのはタヌキが夜行性であることの反映である。0時以降の目撃が少ないのは人間の活動があまりなく目撃機会が少ないためである(つまり「終電後」の時間なのである)。
(目撃時刻は「20時ごろ」といったあいまいな場合も「20時」として集計した。そのためグラフにはいくらかの誤差が含まれる。これはハクビシン、アライグマの場合も同じ。)
参考までに東京の日出時刻は4時25分ごろ〜6時51分ごろ、日没時刻は16時28分ごろ〜19時01分ごろである。

・目撃頭数

有効件数は285件。目撃頭数が1頭のみの例は208件で、全体の約73%にあたる。2頭は55件、3頭は7件、4頭は6件、5頭以上は9件である。最大目撃頭数は9頭(内、幼獣が7頭)(DBN3175)。
1頭の目撃が多いが、つがいでもいつも寄り添って行動しているわけではなく、少し離れた場所にいることもある。目撃が1頭であっても近くに他の個体がいた可能性は否定できない。

・目撃場所

ここでの目撃場所とは、最初に目撃された位置のことである。例えば道路と民家敷地を行き来したとしても、最初の目撃場所が道路ならば「道路」と分類している。
道路は118件、民家は95件、企業は23件、公園は21件、寺・神社は9件、学校(教育施設)は5件である。ただし、「民家」には「アパートやマンションの敷地、駐車場」が含まれる。「企業」にも「駐車場(店舗用、コインパーキング)」が含まれる。
上記と重複するが、「線路・踏切」は4件ある(線路・踏切への出入りを含む)。京王井の頭線で2件、東急世田谷線で1件、JR総武線で1件である。JR総武線の事例は上記の死亡事故である(DBN2956)。
塀の上で目撃された例は5件ある。
建物2階で目撃された例がある。これは外階段を登っていったようだ(DBN3430)。
非常に珍しいが屋根の上で目撃された例がある。簡単に登れる場所だったようだ(DBN4262)。
やはり非常に珍しい事例として、金網を登ろうとした例がある。少し金網を登ったところでずり落ちてしまった様子が動画撮影されている(DBN4030)。

・家屋侵入

「家屋侵入」とは、建物の内部に入り込むことである(民家だけでなくあらゆる建築物が対象)。
家屋侵入は4件あった。室内への侵入は2件、床下への侵入は1件、出産・子育てをした例(1階ベランダ下)は1件である。

・子育て

タヌキが出産・子育てをしたという情報は24件あった。これは「同時に3頭以上の目撃」というだけでなく、明らかに親子の体格差があることなども条件としている。
出産・子育ての場所は建物の床下が多い。建物の間の狭い空間を利用した例もある。雑木林や側溝の中など目撃されにくい場所で出産・子育てをする例もあると推測される。巣そのものを発見することは非常に難しい。


■ハクビシンの目撃情報の集計

2014年〜2016年の目撃情報は733件あった。2014年は231件、2015年は215件、2016年は287件である。
情報源の分類は以下の通りである。

メール
727
宮本
2
メディア
2
ホームページ
1
その他
1

その他=目撃者本人からの聞き取り1件。

「宮本」の2件は宮本自身の目撃である。

各区毎の目撃件数を多い順に並べると次のようになる。

世田谷区
65
練馬区
56
新宿区
50
杉並区
50
文京区
40
板橋区
39
港区
38
大田区
38
渋谷区
38
北区
38
豊島区
37
目黒区
34
台東区
33
中野区
31
品川区
27
江東区
20
足立区
20
荒川区
16
墨田区
14
江戸川区
13
千代田区
12
中央区
12
葛飾区
12
733

ハクビシンは23区すべてで目撃されている。

面積当たりの目撃件数を多い順に並べると次のようになる。

件数 面積 件数/面積
文京区
40
11.29
3.54
台東区
33
10.11
3.26
豊島区
37
13.01
2.84
新宿区
50
18.22
2.74
渋谷区
38
15.11
2.51
目黒区
34
14.67
2.32
中野区
31
15.59
1.99
港区
38
20.37
1.87
北区
38
20.61
1.84
荒川区
16
10.16
1.57
杉並区
50
34.06
1.47
板橋区
39
32.22
1.21
品川区
27
22.84
1.18
中央区
12
10.21
1.18
練馬区
56
48.08
1.16
世田谷区
65
58.05
1.12
千代田区
12
11.66
1.03
墨田区
14
13.77
1.02
大田区
38
60.66
0.63
江東区
20
40.16
0.50
足立区
20
53.25
0.38
葛飾区
12
34.80
0.34
江戸川区
13
49.90
0.26
733
618.80
1.18

面積はkm2。東京都ホームページによる。


■ハクビシンの目撃分布図

メッシュ地図を下に掲載した。

1メッシュ当たり目撃件数の最大は20件である。そのメッシュはJR上野駅から浅草までを含む地域である。この地域は建物が立ち並び、緑地が少ないため本来ならハクビシンにはすみにくいはずである。この地域は寺社(特に寺院)が多い。ハクビシンが寺社をねぐらとして利用していることが推測される(他の場所でも寺社近辺で目撃される例が多い)。食べ物は生ゴミ・残飯を利用していると推測している。
大田区で突出しているメッシュがあるのは熱心なウォッチャーがいるためである。

全体的にはタヌキと同じく、東に少なく、西に多く生息している。しかし、23区全体に広く分布していることがタヌキと異なる。タヌキの生息が少ない都心部、東部、海岸部でも目撃されている。


■ハクビシンの目撃例の分析

・体色

ハクビシンの胴体部分の体色は淡色型、暗色型、赤褐色型があることが知られている(ただし、この分け方は宮本によるもの)。淡色型は168件(69%)、暗色型は60件(25%)、赤褐色型は15件(6%)が記録されている。夜間の目撃が多いため、体色がはっきりしない場合が多い。これらの3つの型の比率は東京都23区以外では異なる可能性がある。全国的な比較ができるようになれば興味深い結果が出てくるかもしれない。
目撃情報の中には奇妙な例もあった。ハクビシンの特徴は顔の中心を通る白い模様だが、「白線が無い(薄い)」という例が7件、「白線が2本」という例が3件あった。ゴミや汚れなどのせいでそのように見えた可能性もあるが、特殊な模様の例かもしれない。
DBN3544とDBN3559では「白線が薄い」例を静止画と動画で確認できた。角度や明るさによっては「白線が無い」ように見えることだろう。

・死亡例

死亡例は12件あった。内9件は自動車にひかれたものと思われる。ハクビシンは道路幅に関係なく横断しようとしているようだ。
自動車にひかれたが自力で逃げ、その後の生死は不明という事例が1件ある(DBN3268)。
DBN3130は何らかの病気であったようで、生きている状態で発見された後に死亡している。DBN3685も病気だったらしく、幼獣3頭の内2頭が死亡している。

・フン・尿

フン・尿の例は12件あった。屋根、ベランダ、屋上にフンがあった事例が11件、地面にフンがあった事例が1件、天井裏にフン・尿をしたケースは0件だった。実際に天井裏被害がまったくなかったとは考えられないので、駆除業者や行政への連絡が優先されているのだろうと思われる。
フンの回収・分析は行っていない。

・疥癬症、脱毛症状

何らかの脱毛症状が見られた例は3件あった。DBN3130は上記の死亡例で、体のところどころが脱毛していたとのことであった。DBN3956は体の大部分が脱毛していた。
脱毛症状の件数が少ないのは、ハクビシンは短毛であるため目立たないからかもしれない。また、夜間の遠くからの目撃では脱毛症状はわからないだろう。

・イヌとの遭遇

イヌに遭遇する例は40件あった。イヌは吠えない、あるいは何も関心を示さないことが多い。イヌが吠える例は5件あった。

襲撃・威嚇の例が3件あった。ハクビシンの襲撃・威嚇事例はいずれもイヌがらみである点に注目すべきである。
DBN3180ではハクビシンがイヌにかみついた。飼い主によれば、ハクビシンの逃げ道をふさぐかたちになったからかもしれない、とのことであった。
DBN3376ではハクビシンがイヌに威嚇した。このハクビシンは2頭の子を連れていた。
DBN3789ではハクビシンが威嚇し、人間とイヌに1m以内まで近づいてきた。飼い主は持っていたものを投げつけて追い払った。その時、近くにハクビシンがもう1頭おり、それは幼獣だったかもしれないとのことであった。現場は空き家の裏であり、その空き家がハクビシンの巣になっているらしかった。

・ネコとの遭遇

ネコに遭遇する例は33件あった。これにはネコ用に置いたエサを食べに来た例(ネコには直接遭遇していない場合もある)が含まれる。
ネコのエサを食べた例は8件。ネコといっしょに食べている例があった(DBN3901)。
ネコがハクビシンに対して威嚇したり騒いだりした例は1件、ネコがハクビシンの後を追う例は6件、ハクビシンがネコを追う例は3件あった。ハクビシンとネコはいい勝負なのかもしれない。
ネコが電線の上のハクビシンに気付いた例が1件ある。

・河川落下

河川落下の情報はない。ハクビシンの運動能力ならば、垂直壁の鉄ハシゴを登ることなど容易なはずである。よって、河床から脱出できなくなることはないだろう。

・目撃月

グラフを下に掲載した。月日が不明な目撃例は集計していない。夏に多く冬に少ないというパターンで、タヌキとは違う傾向を示している。タヌキと違い出産時期も読み取ることができない。
冬に目撃が少ない理由として、一部のハクビシンが冬眠していることが予想される(「ハクビシンは冬眠してるのかも仮説」、[文献5])。かなり難しいことではあるが野生のハクビシンを長期間モニタリングすることで検証できるだろう。飼育個体は冬眠しないかもしれないので検証には適さない。

・目撃時刻

グラフを下に掲載した。時刻が不明な目撃例は集計していない。20〜23時に目撃は多い。昼間の目撃は少なく、タヌキよりも夜行性が強い。

・目撃頭数

有効件数は714件。目撃頭数が1頭のみの例は600件で、全体の約84%にあたる。2頭は85件、3頭は22件、4頭は6件、5頭は1件である。6頭以上の目撃例がないことから、出産頭数はタヌキよりも少ないことが統計的に推測される。

体格の違いから親子と思われる目撃例は36件あった。月別では1月=3件、2月=4件、3月=1件、5月=2件、6月=1件、7月=3件、9月=5件、10月=6件、11月=5件、12月=5件(不明1件)。時期がばらついているため、出産の時期が長いことが推測される。タヌキの出産時期が1ヶ月ほどの間に限定されるのとは対照的である。秋以降に比較的目撃が多いため夏から秋にかけて出産することが多いのではないかとも推測できる。

・目撃場所

道路は442件、民家は198件、企業は41件、公園は19件、寺・神社は8件、学校(教育施設)は6件である。ここでの目撃場所とは、最初に目撃された位置のことである。ただし、ハクビシンが電線上にいる場合は「道路」、民家の屋根の上ならば「民家」などと分類している。寺・神社が少ないが、目撃場所近くに寺・神社がある例は少なくなく、巣やねぐらにしている可能性は否定できない。
上記と重複するが、「線路・踏切」は6件ある(線路・踏切への出入りを含む)。内訳はJR3件、東急池上線1件、西武新宿線1件、東京メトロ(地下)1件である。
特殊な目撃場所については上とは別に集計している。電線・電柱は168件、塀・フェンスの上は137件、屋根・屋上・ベランダは76件、樹上は50件、壁・窓・雨どいは17件、欄干・手すりは2件である。これらの数字は重複がある。例えば、電線から屋根に移動した、という場合は「電線」「屋根」の両方でカウントしている。いずれにも該当しない例(つまり地上を歩くだけの例)は379件(全体の約52%)ある。

電線・電柱の目撃は全体の約23%になる。なぜ電線のハクビシンを発見できたかについて理由をたずねたところ、「たまたま見上げて」が28件、「2階など上層階のベランダや窓から発見」が27件、「視界に何か見えて」が22件、「カラスが騒いでいた」が11件、「音がして」が5件、「鳴き声がして」が5件、「坂道なので目線が自然に上を向いていた」が4件、「ネコが気付いた」が1件だった。

・運動能力

前項に書いたようにハクビシンは高いところにも普通に登り、電線を歩くこともできるほどの運動能力を持つ。
ハクビシンが電線を走っていたという報告が3件あった。その速度は正確にはわからないが、人が歩くよりも速かったのだろう。

ハクビシンの目撃例を分析すると、ハクビシンが森林の樹上生活に適応した動物であることが明らかである。ハクビシンは電線を歩き、電柱や樹木や塀を登る。住宅地では電線が縦横に張られており、これはハクビシンにとっては森林の樹上と似たような環境に見えることだろう。都市部でもハクビシンが生活できるのは電線のおかげと言えるかもしれない。
ただし、ハクビシンは「完全な樹上生活者」ではないことにも注意されたい。ハクビシンは地面上で目撃されることが最も多いのである。

・家屋侵入

家屋侵入は7件だった。ベランダに現れた例は含まない。屋根裏・天井裏が4件。いずれも民家であった。内1件では壁の中を登ったことがわかっている(壁の中の断熱材をかきわけて天井裏に登ったと思われる)(DBN3317)。
他にはマンションの地下駐車場に侵入した例が1件(DBN3235)、マンション地下1階に侵入した例が1件ある(DBN3907)。
ハクビシンは屋根裏・天井裏に入り込むことがある動物である。もっと多くの侵入例があってもいいはずだが、目撃情報数が少なすぎるように思える。フン・尿の場合と同様、駆除業者や行政への連絡が優先されているのだろう。
あるいは、空き家などを選んで侵入していることも考えられる。他にも寺の本堂や神社の本殿は屋根が高く、人間の使用頻度も少ないためハクビシンがすみついても気づかれていない可能性がある。


■アライグマの目撃情報の集計

アライグマの集計結果は目撃情報が少ないため統計的に十分なものとは言えないことに注意してほしい。

2014年〜2016年の目撃情報は41件あった。2014年は14件、2015年は9件、2016年は18件である。
情報源の分類は以下の通りである。

メール
40
宮本
0
メディア
1
ホームページ
0

各区毎の目撃件数を多い順に並べると次のようになる。

江東区
7
世田谷区
6
中野区
3
杉並区
3
北区
3
練馬区
3
葛飾区
3
新宿区
2
台東区
2
品川区
2
目黒区
2
大田区
2
千代田区
1
文京区
1
渋谷区
1
中央区
0
港区
0
墨田区
0
豊島区
0
荒川区
0
板橋区
0
足立区
0
江戸川区
0
41

■アライグマの目撃分布図

メッシュ地図を下に掲載した。
1メッシュ当たり目撃件数の最大は3件である。
江東区では亀戸駅近辺と南砂などで目撃されている。


■アライグマの目撃例の分析

・死亡例

死亡例は1件だった(DBN3645)。渋谷区で、交通事故死とみられる。

・フン・尿

フン・尿の例は0件だった。

・疥癬症、脱毛症状

何らかの脱毛症状が見られた例は0件だった。

・イヌとの遭遇

イヌに遭遇する例は2件あった。イヌが吠えた例が1件(DBN3981)、吠えなかった例が1件である(DBN3982)。

・ネコとの遭遇

ネコに遭遇する例は8件あった。これにはネコ用に置いたエサを食べに来た例(ネコには直接遭遇していない場合もある)が含まれる。ネコのエサを食べた例は5件。この内1件ではエサを入れていたインスタントコーヒーの瓶のふたを開けている(DBN3991)。
アライグマががネコを追う例が1件あった(DBN4138)。

・河川落下

河川落下は0件だった。

・目撃月

グラフを下に掲載した。月日が不明な目撃例は集計していない。

・目撃時刻

グラフを下に掲載した。時刻が不明な目撃例は集計していない。夜行性であることを示しているようだ。

・目撃頭数

有効件数は41件。目撃頭数が1頭のみの例は38件で、2頭が2件、3頭が1件である。

・目撃場所

道路は19件、民家は13件、企業は6件、公園1件、その他2件である。
特殊な目撃場所については上とは別に集計している。電線・電柱は1件、塀・フェンスの上は8件、屋根・屋上・ベランダは0件、樹上は3件、欄干・手すりは0件である。これらの数字は重複がある。

・家屋侵入

家屋侵入は0件だった。

・子育て

出産・子育の情報は2件だった。世田谷区では直接目撃情報ではないが、成獣(頭数不明)と幼獣3頭が目撃された(DBN3906、2月)。同じく世田谷区では成獣1頭、幼獣2頭が目撃された(DBN4185、7月)。
どこを巣にしているのかの情報はまったくない。

・繁殖の可能性がある地域

アライグマが同時に複数頭目撃されたり、ある地域で集中して目撃される場合、繁殖が疑われる。
2014年〜2016年では特に目撃が集中した地域はなかった。
同じ個体が複数回目撃されたと推測される例が江東区で2件、品川区で1件、葛飾区で1件あった。それぞれ2回ずつ目撃されている。

・アライグマの推定生息数

アライグマの目撃件数は少ないため、生息数を推定することは難しい。23区のタヌキの生息数を1000頭と仮定し[文献6]、タヌキとの目撃件数の比較から単純計算すると、23区内にアライグマは数十頭から100頭前後の規模で生息していると推測できる。

アライグマはいずれ生息数が増加していく可能性は否定できず、その動向を継続的に監視する必要がある。東京タヌキ探検隊!がアライグマを情報収集の対象にしているのはそのためである。


■アナグマの目撃情報

2014年〜2016年のアナグマの目撃情報は11件あった。2014年は4件、2015年は6件、2016年は1件である。写真が撮影された例は2件、足跡の例が1件ある。
場所は大田区、世田谷区、渋谷区、杉並区が各2件、北区、板橋区、練馬区が各1件である。
詳細は次の通り。

DBN 目撃場所 目撃年など
3156 渋谷区 2014年。写真あり。
3259 杉並区 2014年。
3359 渋谷区 2014年。写真あり。DBN3156と同一の場所。
3448 板橋区 2014年。荒川堤防近く。
3499 大田区 2015年。
3577 世田谷区 2015年。2頭。
3582 杉並区 2015年。足跡の写真あり。5本指で横幅がある足跡。DBN2725に近い場所。
3783 練馬区 2015年。石神井公園の近く。
3820 大田区 2015年。
3950 豊島区 2014〜2015年。複数回の目撃。JR線路上
3889 世田谷区 2016年。

2014年は渋谷区で2度も写真が撮影され、間違いなくアナグマであることが確認できた。

アナグマが何頭生息しているのか、どうやって生活しているのかなどはまだわからない。アナグマの生息調査は急ぎ行うべきことである。特に大田区、世田谷区、江戸川区は生息場所の絞り込みが可能であり、調査を優先して行うべきである。本来ならば私自身が調査を行いたいところであるが、残念ながらリソース(時間、資金、人員)をまったく持ち合わせていないため実行不可能である。興味本位ではなく、しっかりとした態勢で生息調査を行う用意がある方には情報提供などの協力はするつもりでいる。

日本全国で見ればアナグマは絶滅のおそれはない動物である。しかし大都会の中のアナグマが消え去ってしまうことの是非については多くの人に考えていただきたいことである。

・アナグマの推定生息数

目撃情報の数の比較からアナグマはアライグマよりも少ないと考えられる。東京都23区全体で最大でも数十頭以下と宮本は推測している(これは「絶滅寸前」と言っていい状態である)。

■キツネの目撃情報

2014〜2016年にキツネの目撃情報はなかった。

この期間外になるが、2010年、練馬区でのキツネの目撃情報が得られた(DBN4212)。
この目撃情報のメールでは、当初は埼玉県での目撃とのことであった。目撃場所の詳細を確認すると、ぎりぎりで東京都側に入り込んでいることがわかった。よって、この目撃情報は東京都での目撃としてデータベースに記録した。
ただし、このキツネが東京都に定住していないことも確実である。埼玉県側には広大な敷地があり、そこがキツネの主要な生息場所であるのは間違いない。今回目撃されたキツネはたまたまそこから外に出てきたのであろう。

東京都23区では1980年ごろまで練馬区でキツネがいたという情報がある。だがその後はまったく目撃例はなく、現在は生息していないと考えられていた。
東京タヌキ探検隊!へ寄せられた情報、新聞等で収集した情報をまとめると、23区近隣では多摩川、荒川、江戸川の河川敷やゴルフ場でキツネが目撃されている。

多摩川…多摩市、2012年、DBN2368
荒川…戸田市、2011年、DBN1761
江戸川…千葉県野田市、2013年、DBN2644
ゴルフ場…埼玉県所沢市、2012年、DBN2048
ゴルフ場…稲城市、2015年、DBN3583
他…国立市、2013年、DBN2629

ただしいずれも23区からは遠い。最も近いのは荒川河川敷のもので、板橋区から約3km離れている。しかも板橋区から見ると対岸側になるので23区内に移動してくる可能性はかなり低い。

東京都23区近辺でのキツネの目撃場所は広大な草地であることが多い。 東京都23区内でそれに該当するのは多摩川、荒川、江戸川の河川敷ぐらいしかない。 より上流に生息するキツネが河川敷をつたって23区に到達するのは距離が長いため難しいと予想される。
23区でキツネが定住することは当分はありえないだろう。


■考察1:


■全国の目撃情報の集計

東京都23区以外の目撃情報についても報告する。いずれも2016年のみの集計である。

・2016年の事件

宮本は主に朝日新聞デジタルとGoogleアラートを利用してタヌキなどの記事をチェックしている。

北海道新聞社ホームページによると、2016年5月2日、北海道新幹線が木古内―新函館北斗間を走行中、運転手が異音を感じ非常ブレーキをかけた。その後付近を調べたところトンネル出口近くでタヌキの死体が発見された。タヌキは防護柵の下の地面を掘って線路内に侵入したとみられる。(DBN4056)

朝日新聞ホームページによると、2016年5月12日、鹿児島県南さつま市でジャワマングースの死体が発見された。鹿児島県本土での生息確認は2012年の薩摩川内市以来となる。南さつま市では同時期にフンも発見されており、他にも生息している可能性がある。(DBN4081)

2016年7月4日、国交省利根川上流河川事務所(埼玉県久喜市)は4日、古河市大山の利根川河川敷堤防にキツネの掘った巣穴3カ所を発見したと発表した(茨城新聞ホームページ)。増水時に堤防決壊の原因にもなりかねないため埋め戻されることになった。穴を利用していたのがキツネであることはセンサーカメラで確認されているが、最初に穴を掘ったのはアナグマだったかもしれない、と宮本は推測している。(DBN4183)

・都道府県毎の目撃情報数


■今後の課題


■謝辞


■文献

東京タヌキ探検隊!のホームページ

http://tokyotanuki.jp

東京タヌキ探検隊!の過去の報告書は次のページから見ることができる。

http://tokyotanuki.jp/reports.htm

東京コウモリ探検隊!のホームページ

http://tokyobat.jp

[文献1] Akihito, Sako, T., Teduka, M. and Kawada, S「Long-term Trends in Food Habits of the Raccoon Dog, Nyctereutes viverrinus, in the Imperial Palace, Tokyo」

研究と標本・資料 ≫ 学術出版物 :: 国立科学博物館 https://www.kahaku.go.jp/research/publication/zoology/v42_3.html

[文献2] 「いきもの通信 Vol. 594(2016/11/30)「皇居におけるタヌキの果実採食の長期変動」の読み解き方」
http://ikimonotuusin.com/doc/594.htm
宮本 拓海、2016年

[文献3] 「東京タヌキ、どこへ 減る目撃情報、捕獲され過ぎか」
2016年4月26日、朝日新聞夕刊(東京版)

[文献4] 「東京都23区内のタヌキ、ハクビシン、アライグマの目撃情報の集計と分析(2012年1月版)」 「考察1:練馬区のパラドックス」の項を参照のこと
http://tokyotanuki.jp/docs/tanuki1201.htm
宮本 拓海、2012年

[文献5] 東京タヌキタイムズ(東京ハクビシンタイムズ) 2015年4月号「ハクビシンは冬眠してるのかも仮説/目撃情報数の季節変化はこれで説明できるか?」
http://tokyotanuki.jp/times/tanukitimes201504.pdf
宮本 拓海、2015年

[文献6] 「東京都23区内のタヌキの生息数の推定(2012年版)」
http://tokyotanuki.jp/docs/tokyotanuki1208.pdf
宮本 拓海、2012年
「東京都23区のタヌキの生息数は約1000頭」ということは広く知られつつあるが、その根拠を示しているのは宮本だけである。


■使用地図

本稿に掲載した地図は国土地理院発行の以下の数値地図を複製・使用した。
「数値地図5mメッシュ(標高) 東京都区部」
「数値地図50mメッシュ(標高) 日本II」


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