タヌキなどの情報は東京タヌキ探検隊!ホームページにも掲載しています。

東京タヌキ探検隊!ではタヌキなどの目撃情報を常時収集しています。
連絡先などの詳細はこちらのページをご覧ください。
対象地域:全国
対象動物:タヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネなど(野生の哺乳綱食肉目)

東京都23区内のタヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネの目撃情報の集計と分析(2018年1月版)

※無断転載禁止

執筆:宮本 拓海 (東京タヌキ探検隊! 隊長)
2018年11月


■概要

・宮本(東京タヌキ探検隊!)による東京都23区内でのタヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネの目撃情報の集計を報告する。
・今回の集計期間は2015年〜2017年。タヌキは281件、ハクビシンは689件、アライグマは41件、アナグマは11件、キツネ0件が含まれる。
・東京都23区以外の全国の目撃情報についても簡単に報告する。東京都23区以外の目撃情報数はまだ非常に少なく、分析できる規模ではない。

※東京タヌキ探検隊!とは

東京タヌキ探検隊!は全国のタヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネなどを対象に目撃情報の収集、調査分析を行っています。これまでに4877件の目撃情報を記録してきました(2017年末現在)。
東京タヌキ探検隊!の原形は1999年にホームページで東京都23区のタヌキの目撃情報の提供を呼びかけたことに始まります。シチズンサイエンスやオープンサイエンスの世界的にも先駆的な試みでした。発想も実践もアマチュアによるものという非常に珍しい例でもあります(隊長の宮本は職業専門家ではない)。
これまでの成果として、東京都23区でのタヌキ、ハクビシン、アライグマの生息分布の解明、生息数の推定、アナグマ生息の報告などがあります。

※今回の報告書公開の遅れについて

いつもなら2月までには公開している毎年の報告書ですが、今年は大幅に遅れてしまいました。
その理由のひとつは、データベースに新しいフィールド(項目)を追加してその確認に手間取ってしまったことです。具体的にはイヌ、ネコに関してのフィールドです。これまでは集計の時にひとつひとつを確認していたのですが、それを自動集計できるようにしました。
もうひとつの理由は、宮本の仕事の不規則さのためです。私は会社員ですが、平日9時5時勤務のような規則正しいものではありません。朝6時30分から現場の作業をしたり、土曜日曜も立ち会いに行かねばならなかったり、お盆休みがなかったりします。代休の消化が追いつかなくなることもあります。これではなかなかデータ整理、執筆の時間がとれません。
来年以降も公開が遅れるかもしれませんが、そうならないよう努力します。

■前文

今年もタヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネの目撃情報の集計を報告する。今回は2015年〜2017年の目撃情報の集計結果を報告する。

文中に「DBN1234」のように記されている数字は、東京タヌキ探検隊!データベースで目撃情報に割り振られた通し番号である。この番号はデータベースに記録された順であり、実際の目撃年月日の順ではない。後の検証をやりやすくするためにできるだけこの報告書にも記載していく。


■2017年の事件

目撃情報の報告の前に、2017年の東京都23区でのタヌキ関係の事件を振り返る(全国の事件については後述)。

2月13日、文京区本郷7丁目にタヌキ2頭が現れた。場所は東京大学のすぐそばである。東京大学(本郷、弥生)〜根津にかけての地域にはタヌキが生息しており、特に驚くようなことではない。
(DBN4489、テレビ東京)

5月22日夜、毎日新聞記者が国会議事堂敷地内でタヌキに遭遇した。このことは7月3日夕刊のコラムに掲載された。
「衆院事務局によると、敷地内でタヌキの目撃例は他にないという」と書かれているが、国会議事堂〜山王日枝神社の一帯はタヌキが生息している地域であり、国会敷地にタヌキが入ってくるのは不思議な事ではない。これまでにも目撃した人は少なくないはずである。
(DBN4662、毎日新聞)


■目撃情報の集計

収集された目撃情報は、データベース上で記録されている。記録する際、複数の目撃情報を1件にまとめることなどがある。そのルールは次のようになっている。

1.原則として、1つの目撃情報を1件として扱う。
2.同じ目撃者が同じ場所で繰り返し目撃している場合は、1件として数える。例えばタヌキが住宅の庭に来る場合や、ネコのエサやり場に来る場合がこれにあたる。
3.同じ場所で目撃が繰り返される場合は、半年が経過したら新たに1件として扱う。
4.同じ個体(または同じ家族)であると推測される場合でも、場所・日時・目撃者が異なっていれば目撃情報別に個別に扱う。

せっかくの目撃情報がデータベースに記録されない場合がある。位置情報・年があいまいな場合は原則として記録されない。位置情報が「丁目」すらわからない場合はまず記録されない。
伝聞情報(いわゆる「人から聞いた話」)も日時や場所があいまいなことが多く、多くは記録していない。
駆除業者や行政からの聞き取りは行っていない。

・目撃情報数の推移

次のグラフは東京都23区での目撃情報数の推移である。東京タヌキ探検隊!のシステムが十分に機能するようになったのは2009年頃以降で、それまでは目撃情報はほとんど得られなかった。その理由はパソコン、インターネットが普及していなかったためである。2009年頃に生息数が急増したわけではない。

タヌキの目撃情報数は2009年以降ずっと減少傾向が続いている。ハクビシンの目撃情報数は上下動が激しいが、メディアの影響にも左右されていると思われる。報道が多いと注目度も高まるためである。


■目撃情報の分布地図の仕様

分布地図の仕様は次の通り。

・座標系は世界測地系を採用する。
・メッシュは約2km×約2kmに相当する。正確には、東西方向に90秒、南北方向に60秒で近似している。これは地域メッシュ(JIS X 0410)での2倍メッシュと同一のものである(辺の長さが基準地域メッシュ(第3次メッシュ)の2倍のメッシュ)。

目撃位置の詳細が不明であるため誤差のあるプロットもある。
タヌキでは誤差(誤差半径)の最大は200m。誤差100m以上は1件。平均誤差は約6m。
ハクビシンでは誤差の最大は100mで、誤差100m以上は1件。平均誤差は約4m。
アライグマでは誤差の最大は20m。平均誤差は約2m。
大半は「番地」よりも詳しい位置が判明しており、誤差0mの例も少なくない。

「番地」レベルでの誤差は約50〜200mに相当し、これは予想されるタヌキの行動範囲内に収まる。そのため「番地」レベルの位置情報が把握できれば実用上は十分である。ハクビシン、アライグマの行動範囲は不明だがタヌキよりも極端に広いとは考えにくい。


■タヌキの目撃情報の集計

2015年〜2017年の目撃情報は281件あった。2015年は84件、2016年は103件、2017年は94件である。以前の報告書と数字が異なるのは、2017年に入ってからも前年までの目撃情報が寄せられたためである。
タヌキの目撃数は2009年以降、減少が続いていたが2016年は増加した。この増加はメディアの影響によるものと思われる。

情報源の分類は以下の通りである。

メール 276
メディア 4
ホームページ 1
宮本 0
その他 0

・メール=宮本がホームページ(東京タヌキ探検隊!)で情報収集を呼びかけ、メールで寄せられた情報。
・メディア=新聞、テレビなどで紹介された情報(ホームページに掲載された情報も含む)。
・宮本=宮本が直接確認した情報。または聞き取りなどで収集した情報。
・ホームページ=インターネット上のホームページ(ブログを含む)に掲載されていた情報。

このようにほとんどはメールによる情報である。

各区毎の目撃件数を多い順に並べると次のようになる。

世田谷区 48
練馬区 37
杉並区 29
足立区 22
文京区 14
大田区 13
渋谷区 13
台東区 11
豊島区 11
中野区 10
板橋区 10
港区 9
江東区 9
新宿区 8
葛飾区
8
千代田区 7
品川区 6
北区 6
目黒区 4
江戸川区 3
中央区 2
荒川区 1
墨田区 0
281

多数の生息が予想される練馬区と板橋区で目撃情報数が少ない「練馬区のパラドックス」現象[文献1]は、練馬区ではかなり改善されてきているように見える。ただし、次に示す面積当たりの目撃情報数を見ると、もう少し多くてもよさそうに見える。

面積当たりの目撃件数を多い順に並べると次のようになる。

件数 面積 件数/面積
文京区 14 11.29 1.24
台東区 11 10.11 1.09
渋谷区 13 15.11 0.86
杉並区 29 34.06 0.85
豊島区 11 13.01 0.85
世田谷区 48 58.05 0.83
練馬区 37 48.08 0.77
中野区 10 15.59 0.64
千代田区 7 11.66 0.60
港区 9 20.37 0.44
新宿区 8 18.22 0.44
足立区 22 53.25 0.41
板橋区 10 32.22 0.31
北区 6 20.61 0.29
目黒区 4 14.67 0.27
品川区 6 22.84 0.26
葛飾区 8 34.80 0.23
江東区 9 40.16 0.22
大田区 13 60.83 0.21
中央区 2 10.21 0.20
荒川区 1 10.16 0.10
江戸川区 3 49.90 0.06
墨田区 0 13.77 0.00
281 618.97 0.45

面積はkm2。東京都ホームページによる。その元データは総務局行政部長通知「東京都区市町村別の面積について」による平成29年10月1日現在の数値。


■タヌキの目撃分布図

メッシュ地図を下に掲載した。
これまで通り、北西部に偏った分布が確認できる。1メッシュ当たり目撃件数の最大は14件である(世田谷区、下高井戸〜経堂のエリア)。
大田区で突出しているメッシュがあるのは熱心なウォッチャーがいるためである。


■タヌキの目撃例の分析

それぞれの目撃情報には興味深いものも含まれる。今回集計された情報を対象に紹介する。

・目撃月

グラフを下に掲載した。月日が不明な目撃例は集計していない。

・目撃時刻

グラフを下に掲載した。時刻が不明な目撃例は集計していない。18時から24時の目撃が多いのはタヌキが夜行性であることの反映である。0時以降の目撃が少ないのは人間の活動があまりなく目撃機会が少ないためである(つまり「終電後」の時間なのである)。
(目撃時刻は「20時ごろ」といったあいまいな場合も「20時」として集計した。そのためグラフにはいくらかの誤差が含まれる。これはハクビシン、アライグマの場合も同じ。)
参考までに東京の日出時刻は4時25分ごろ〜6時51分ごろ、日没時刻は16時28分ごろ〜19時01分ごろである。

・目撃頭数

有効件数は278件。目撃頭数が1頭のみの例は200件で、全体の約72%にあたる。2頭は49件、3頭は14件、4頭は5件、5頭以上は10件である。最大目撃頭数は8頭(成獣、幼獣の内訳は不明)(DBN4211)。
1頭の目撃が多いが、つがいでもいつも寄り添って行動しているわけではなく、少し離れた場所にいることもある。目撃が1頭であっても近くに他の個体がいた可能性は否定できない。

・目撃場所

ここでの目撃場所とは、最初に目撃された位置のことである。例えば道路と民家敷地を行き来したとしても、最初の目撃場所が道路ならば「道路」と分類している。
道路は110件、民家は97件、企業は20件、公園は17件、寺・神社は13件、学校(教育施設)は4件である。ただし、「民家」には「アパートやマンションの敷地、駐車場」が含まれる。「企業」にも「駐車場(店舗用、コインパーキング)」が含まれる。
上記と重複するが、「線路・踏切」は3件ある(線路・踏切への出入りを含む)。京王線で1件、京王井の頭線で1件、新金貨物線で1件である。
塀の上で目撃された例は3件ある。
非常に珍しいが屋根の上で目撃された例が2件ある。DBN4262は簡単に登れる場所だったようだ。DBN4576では塀にも登っており、空き家に侵入しており、そこで繁殖もしている。
やはり非常に珍しい事例として、金網を登ろうとした例がある。少し金網を登ったところでずり落ちてしまった様子が動画撮影されている(DBN4030)。

・死亡例

死亡したタヌキの目撃例は2件あった。自動車にひかれたと思われる例は1件だった(DBN4776)。実際には交通事故死する例は少なくないと考えられる。もう1件は死因不明(DBN4876)。

・ためフン

タヌキのフンの例は4件あった(DBN4083、4454、4708、4801)。

・疥癬症、脱毛症状

何らかの脱毛症状が見られた例は55件あった。
全目撃数に対する割合は約20%である。2015年は25件、2016年は13件、2017年は17件である。2015年1月〜3月、世田谷区で同一個体と見られる脱毛症状のタヌキの目撃情報が8件あった。
疥癬症が流行しているように見えてしまうが、「珍しい外見」「異様な姿」のため目撃情報メールにつながりやすいという面もある。
区毎の件数の上位は世田谷区15件、渋谷区9件、大田区5件、練馬区5件である。総目撃数が多ければ脱毛症状の目撃例も多くなる傾向があるが、必ずしも相関関係があるわけではないようにも見える。
昼間の目撃は33件で、全体の半数を超える。疥癬症だと裸同然の姿になるので、冬は暖かい昼間でないと活動できないのかもしれない。また、夜間は毛並みの視認が難しいということもあるだろう。

月別の目撃数は次の通り。

件数
1月8(3)
2月13(3)
3月7(2)
4月6
5月2
6月3
7月3
8月1
9月3
10月2
11月0
12月6

1件は目撃日不明である。
括弧内は世田谷区の同一個体と見られる件数である。
冬の目撃が多い。前述のように冬は昼間に活動する可能性が高いために発見率が高いのかもしれない。そのため本当に冬に発症率が高いかどうかはわからない。

・イヌとの遭遇

タヌキがイヌに遭遇する例は8件あった。イヌが興奮する、吠えるなど積極的反応をする例が3件、何も反応しない例が3件、イヌがタヌキに気づかない例が0件である。
タヌキの方も、ある程度の距離があればイヌと人間の様子をうかがう例もある。イヌがリードでつながれていることを見切っている節もある。

イヌについては犬種と年齢もたずねているが、件数が少ないため特に分析はしていない。全般的には最近のイヌはよくしつけられているせいかとてもおとなしい印象である。タヌキやハクビシンなどと遭遇した時の反応は、よそのイヌやネコに対する普段の態度と変わらないという事例が多い。

・ネコとの遭遇

タヌキとネコが遭遇する例は39件あった。これにはネコ用に置いたエサを食べに来た例(ネコには直接遭遇していない場合もある)が含まれる。ネコのエサを食べた例は22件。これにはエサを食べずに去った例、ネコのエサやり場に姿を現した例も含む。
宮本が直接観察した例では、タヌキの方がネコよりも強い。しかしネコがタヌキを威嚇したり、ちょっかいを出すこともあった。過去の目撃情報でも、タヌキが強かったり、ネコがタヌキを追いかけたりといった例がある。全体としてはタヌキの方が優勢のようだ。
野良猫へのエサやり場にタヌキが現れる例は各地で発生していると推測されるが、ネコ担当者はいろいろと肩身の狭い思いをしているせいか、あまり外部に助けを求めないようにも見える。ネコとタヌキのトラブルについては、筆者が個別に対応しているので、ぜひメールで知らせてほしい。

・河川落下

河川落下は1件あった(DBN4058=仙川、世田谷区)。
これまでの事例から推測すると、タヌキは誤って落下したのではなく、道路側溝などからつながる排水管を通って河床へ行き来している可能性が高い。

・家屋侵入

「家屋侵入」とは、建物の内部に入り込むことである(民家だけでなくあらゆる建築物が対象)。
家屋侵入は4件あった。室内への侵入は3件、1階ベランダ下(ただし無人)で出産・子育てをした例は1件である。

・子育て

タヌキが出産・子育てをしたという情報は30件あった。これは「同時に3頭以上の目撃」というだけでなく、明らかに親子の体格差があることなども条件としている。
出産・子育ての場所は建物の床下が多い。建物の間の狭い空間を利用した例もある。雑木林や側溝の中など目撃されにくい場所で出産・子育てをする例もあると推測される。巣そのものを発見することは非常に難しい。


■ハクビシンの目撃情報の集計

2015年〜2017年の目撃情報は689件あった。2015年は215件、2016年は299件、2017年は175件である。
情報源の分類は以下の通りである。

メール 685
宮本 1
メディア 1
ホームページ 1
その他 1

その他=目撃者本人からの聞き取り1件。

「宮本」は宮本自身の目撃である。

各区毎の目撃件数を多い順に並べると次のようになる。

板橋区 56
練馬区 56
世田谷区 48
杉並区 44
港区 40
豊島区 39
新宿区 38
大田区 38
北区 38
文京区 36
台東区 32
目黒区 30
中野区 28
品川区 26
渋谷区 26
江東区 23
足立区 19
荒川区 14
千代田区 13
墨田区 13
江戸川区 13
葛飾区 10
中央区 9
689

ハクビシンは23区すべてで目撃されている。

面積当たりの目撃件数を多い順に並べると次のようになる。

件数 面積 件数/面積
文京区 36 11.29 3.19
台東区 32 10.11 3.17
豊島区 39 13.01 3.00
新宿区 38 18.22 2.09
目黒区 30 14.67 2.04
港区 40 20.37 1.96
北区 38 20.61 1.84
中野区 28 15.59 1.80
板橋区 56 32.22 1.74
渋谷区 26 15.11 1.72
荒川区 14 10.16 1.38
杉並区 44 34.06 1.29
練馬区 56 48.08 1.16
品川区 26 22.84 1.14
千代田区 13 11.66 1.11
墨田区 13 13.77 0.94
中央区 9 10.21 0.88
世田谷区 48 58.05 0.83
大田区 38 60.83 0.62
江東区 23 40.16 0.57
足立区 19 53.25 0.36
葛飾区 10 34.80 0.29
江戸川区 13 49.90 0.26
689 618.97 1.11

面積はkm2。東京都ホームページによる。


■ハクビシンの目撃分布図

メッシュ地図を下に掲載した。

1メッシュ当たり目撃件数の最大は21件(2ヶ所)である。
そのメッシュのひとつはJR上野駅から浅草までを含む地域である。この地域は建物が立ち並び、緑地が少ないため本来ならハクビシンにはすみにくいはずである。この地域は寺社(特に寺院)が多い。ハクビシンが寺社をねぐらとして利用していることが推測される(他の場所でも寺社近辺で目撃される例が多い)。食べ物は生ゴミ・残飯を利用していると推測している。
もうひとつは大田区で突出しているメッシュで、熱心なウォッチャーがいるため目撃情報数が多くなっている。

全体的にはタヌキと同じく、東に少なく、西に多く生息している。タヌキよりも都心部に適応していることがわかる。


■ハクビシンの目撃例の分析

・目撃月

グラフを下に掲載した。月日が不明な目撃例は集計していない。夏に多く冬に少ないというパターンで、タヌキとは違う傾向を示している。
冬に目撃が少ない理由として、一部のハクビシンが冬眠していることが予想される(「ハクビシンは冬眠してるのかも仮説」、[文献2])。かなり難しいことではあるが野生のハクビシンを長期間モニタリングすることで検証できるだろう。飼育個体は冬眠しないかもしれないので検証には適さない。

・目撃時刻

グラフを下に掲載した。時刻が不明な目撃例は集計していない。20〜23時に目撃は多い。昼間の目撃は少なく、タヌキよりも夜行性が強い。

・目撃頭数

有効件数は669件。目撃頭数が1頭のみの例は569件で、全体の約85%にあたる。2頭は74件、3頭は20件、4頭は5件、5頭は1件である。6頭以上の目撃例がないことから、出産頭数はタヌキよりも少ないことが統計的に推測される。

体格の違いから親子と思われる目撃例は41件あった。月別では1月=2件、2月=3件、3月=2件、4月=0件、5月=1件、6月=3件、7月=11件、8月=0件、9月=5件、10月=7件、11月=2件、12月=4件(不明1件)。ハクビシンは暖かい時期に出産することが多いのではないかと推測される。時期がばらついているため、出産の時期が長いことが推測される。タヌキの出産時期が1ヶ月ほどの間に限定されるのとは対照的である。

・目撃場所

道路は407件、民家は203件、企業は38件、公園は17件、寺・神社は7件、学校(教育施設)は4件である。ここでの目撃場所とは、最初に目撃された位置のことである。ただし、ハクビシンが電線上にいる場合は「道路」、民家の屋根の上ならば「民家」などと分類している。寺・神社が少ないが、目撃場所近くに寺・神社がある例は少なくなく、巣やねぐらにしている可能性は否定できない。
上記と重複するが、「線路・踏切」は4件ある(線路・踏切への出入りを含む)。内訳はJR中央・総武線、東急池上線、東急世田谷線、西武新宿線が各1件である。
特殊な目撃場所については上とは別に集計している。電線・電柱は150件、塀・フェンスの上は115件、屋根・屋上・ベランダは60件、樹上は39件、壁・窓・雨どいは13件、欄干・手すりは3件である。これらの数字は重複がある。例えば、電線から屋根に移動した、という場合は「電線」「屋根」の両方でカウントしている。いずれにも該当しない例(つまり地上を歩くだけの例)は381件(全体の約55%)ある。

電線・電柱の目撃は全体の約22%になる。なぜ電線のハクビシンを発見できたかについて理由をたずねたところ、「たまたま見上げて」が29件、「2階など上層階のベランダや窓から発見」が25件、「視界に何か見えて」が17件、「カラスが騒いでいた」が8件、「鳴き声がして」が7件、「音がして」が5件、「坂道なので目線が自然に上を向いていた」が3件だった。

ハクビシンの目撃例を分析すると、ハクビシンが森林の樹上生活に適応した動物であることが明らかである。ハクビシンは電線を歩き、電柱や樹木や塀を登る。住宅地では電線が縦横に張られており、これはハクビシンにとっては森林の樹上と似たような環境に見えることだろう。都市部でもハクビシンが生活できるのは電線のおかげと言えるかもしれない。
ただし、ハクビシンは「完全な樹上生活者」ではないことにも注意されたい。ハクビシンは地面上で目撃されることが最も多いのである。

・体色

ハクビシンの胴体部分の体色は淡色型、暗色型、赤褐色型があることが知られている(ただし、この分け方は宮本によるもの)。淡色型は149件(69%)、暗色型は55件(25%)、赤褐色型は12件(6%)が記録されている。夜間の目撃が多いため、体色がはっきりしない場合が多い。これらの3つの型の比率は東京都23区以外では異なる可能性がある。全国的な比較ができるようになれば興味深い結果が出てくるかもしれない。
目撃情報の中には奇妙な例もあった。ハクビシンの特徴は顔の中心を通る白い模様だが、「白線が無い(薄い)」という例が6件、「白線が2本」という例が2件あった。ゴミや汚れなどのせいでそのように見えた可能性もあるが、特殊な模様の例かもしれない。
DBN3544とDBN3559では「白線が薄い」例を静止画と動画で確認できた。角度や明るさによっては「白線が無い」ように見えることだろう。

・死亡例

死亡例は10件あった。内7件は自動車にひかれたものと思われる。ハクビシンは道路幅に関係なく横断しようとしているようだ。
DBN3685は病気だったらしく、幼獣3頭の内2頭が死亡している。

・フン・尿

フン・尿の例は16件あった。屋根、ベランダ、屋上にフンがあった事例が13件、地面にフンがあった事例が3件、天井裏にフン・尿をした事例は0件だった。実際に天井裏被害がまったくなかったとは考えられないので、駆除業者や行政への連絡が優先されているのだろうと思われる。
屋根、屋上のフンはなかなか気付かれないため、これも他に多くの例があると思われる。
フンの回収・分析は行っていない。

・疥癬症、脱毛症状

何らかの脱毛症状が見られた例は6件あった。DBN3956は体の大部分が脱毛していた。
脱毛症状の件数が少ないのは、ハクビシンは短毛であるため目立たないからかもしれない。また、夜間の遠くからの目撃では脱毛症状はわからないだろう。

・イヌとの遭遇

ハクビシンがイヌに遭遇する例は29件あった。イヌが興奮する、吠えるなど積極的反応をする例が13件、何も反応しない例が10件、イヌがハクビシンに気づかない例が4件である。

・ネコとの遭遇

ネコに遭遇する例は38件あった。これにはネコ用に置いたエサを食べに来た例(ネコには直接遭遇していない場合もある)が含まれる。
ネコのエサを食べた例は11件。ネコといっしょに食べている例があった(DBN3901)。
ネコがハクビシンに対して威嚇したり騒いだりした例は2件、ネコがハクビシンの後を追う例は5件、ハクビシンがネコを追う例は2件あった。ハクビシンとネコはいい勝負なのかもしれない。

・河川落下

河川落下の情報はない。ハクビシンの運動能力ならば、垂直壁の鉄ハシゴを登ることなど容易なはずである。よって、河床から脱出できなくなることはないだろう。

・運動能力

ハクビシンは高いところにも普通に登り、電線を歩くこともできるほどの運動能力を持つ。
ハクビシンが電線を走っていたという報告が1件あった。その速度は正確にはわからないが、人が歩くよりも速かったのだろう。

・家屋侵入

家屋侵入は8件だった。ベランダに現れた例は含まない。屋根裏・天井裏が3件。いずれも民家であった。
他にはマンション地下1階に侵入した例が1件(DBN3907)、マンション1F外廊下に侵入した例が2件(DBN4431、4472)ある。
ハクビシンは屋根裏・天井裏に入り込むことがある動物である。もっと多くの侵入例があってもいいはずだが、目撃情報数が少なすぎるように思える。フン・尿の場合と同様、駆除業者や行政への連絡が優先されているのだろう。
あるいは、空き家などを選んで侵入していることも考えられる。他にも寺の本堂や神社の本殿は屋根が高く、人間の使用頻度も少ないためハクビシンがすみついても気づかれていない可能性がある。

・襲撃・威嚇

襲撃・威嚇の例が4件あった。
DBN3789ではハクビシンが威嚇し、人間とイヌに1m以内まで近づいてきた。飼い主は持っていたものを投げつけて追い払った。その時、近くにハクビシンがもう1頭おり、それは幼獣だったかもしれないとのことであった。現場は空き家の裏であり、その空き家がハクビシンの巣になっているらしかった。イヌが関係するのはこの1件だけである。
他の3件は威嚇例で、特に攻撃的ではなかった。


■アライグマの目撃情報の集計

アライグマの集計結果は目撃情報が少ないため統計的に十分なものとは言えないことに注意してほしい。

2015年〜2017年の目撃情報は41件あった。2015年は9件、2016年は19件、2017年は13件である。
情報源の分類は以下の通りである。

メール
40
メディア
1
宮本
0
ホームページ
0

各区毎の目撃件数を多い順に並べると次のようになる。

江東区 6
世田谷区 4
杉並区 4
中野区 3
北区 3
練馬区 3
葛飾区 3
新宿区 2
品川区 2
板橋区 2
千代田区 1
港区 1
文京区 1
台東区 1
墨田区 1
大田区 1
渋谷区 1
足立区 1
江戸川区 1
中央区 0
目黒区 0
豊島区 0
荒川区 0
41

■アライグマの目撃分布図

メッシュ地図を下に掲載した。
1メッシュ当たり目撃件数の最大は3件である(江東区、亀戸駅近辺)。


■アライグマの目撃例の分析

・目撃月

グラフを下に掲載した。月日が不明な目撃例は集計していない。

・目撃時刻

グラフを下に掲載した。時刻が不明な目撃例は集計していない。夜行性であることを示しているようだ。

・目撃頭数

有効件数は40件。目撃頭数が1頭のみの例は39件で、2頭が0件、3頭が1件である。

・目撃場所

道路は17件、民家は17件、企業は6件、公園1件である。
特殊な目撃場所については上とは別に集計している。電線・電柱は0件、塀・フェンスの上は10件、屋根・屋上・ベランダは1件、樹上は2件、欄干・手すりは0件である。これらの数字は重複がある。

・死亡例

死亡例は1件だった(DBN3645)。渋谷区で、交通事故死とみられる。

・フン・尿

フン・尿の例は0件だった。

・疥癬症、脱毛症状

何らかの脱毛症状が見られた例は0件だった。

・イヌとの遭遇

イヌに遭遇する例は2件あった。イヌが吠えた例が1件(DBN3981)、吠えなかった例が1件である(DBN3982)。

・ネコとの遭遇

ネコに遭遇する例は6件あった。これにはネコ用に置いたエサを食べに来た例(ネコには直接遭遇していない場合もある)が含まれる。ネコのエサを食べた例は5件。この内1件ではエサを入れていたインスタントコーヒーの瓶のふたを開けている(DBN3991)。
アライグマががネコを追う例が1件あった(DBN4138)。

・河川落下

河川落下は0件だった。

・家屋侵入

家屋侵入は0件だった。

・子育て

出産・子育ての情報は2件だった。世田谷区では直接目撃情報ではないが、成獣(頭数不明)と幼獣3頭が目撃された(DBN3906、2月)。同じく世田谷区では成獣1頭、幼獣2頭が目撃された(DBN4185、7月)。
どこを巣にしているのかの情報はまったくない。

・繁殖の可能性がある地域

アライグマが同時に複数頭目撃されたり、ある地域で集中して目撃される場合、繁殖が疑われる。
2015年〜2017年では特に目撃が集中した地域はなかった。

・アライグマの推定生息数

アライグマの目撃件数は少ないため、生息数を推定することは難しい。23区のタヌキの生息数を1000頭と仮定し[文献3]、タヌキとの目撃件数の比較から単純計算すると、23区内にアライグマは数十頭から100頭前後の規模で生息していると推測できる。

アライグマの推定生息数は増加する様子が見られない。何らかの理由で都市部には適応しにくいのではないかと考えられる。
それでも今後生息数が増加していく可能性は否定できず、その動向を継続的に監視する必要がある。東京タヌキ探検隊!がアライグマを情報収集の対象にしているのはそのためである。


■アナグマの目撃情報

2015年〜2017年のアナグマの目撃情報は11件あった。2015年は6件、2016年は1件、2017年は4件である。写真が撮影された例は1件だけある(足跡の写真)。
場所は大田区、世田谷区が各3件、品川区、杉並区、北区、板橋区、練馬区が各1件である。
詳細は次の通り。

DBN 目撃場所 目撃年など
3499 大田区 2015年。
3577 世田谷区 2015年。2頭。
3582 杉並区 2015年。足跡の写真あり。5本指で横幅がある足跡。DBN2725に近い場所。
3783 練馬区 2015年。石神井公園の近く。
3820 大田区 2015年。
3950 豊島区 2014〜2015年。複数回の目撃。JR線路上
3889 世田谷区 2016年。
4490 大田区 2017年。
4545 板橋区 2017年。
4603 世田谷区 2017年。
4784 品川区 2017年。

アナグマが何頭生息しているのか、どうやって生活しているのかなどはまだわからない。アナグマの生息調査は急ぎ行うべきことである。特に大田区、世田谷区は生息場所の絞り込みが可能であり、調査を優先して行うべきである。本来ならば私自身が調査を行いたいところであるが、残念ながらリソース(時間、資金、人員)をまったく持ち合わせていないため実行不可能である。興味本位ではなく、しっかりとした態勢で生息調査を行う用意がある方には情報提供などの協力はするつもりでいる。

日本全国で見ればアナグマは絶滅のおそれはない動物である。しかし大都会の中のアナグマが消え去ってしまうことの是非については多くの人に考えていただきたいことである。

・アナグマの推定生息数

目撃情報の数の比較からアナグマはアライグマよりも少ないと考えられる。東京都23区全体で最大でも数十頭以下と宮本は推測している(これは「絶滅寸前」と言っていい状態である)。

■キツネの目撃情報

2015〜2017年にキツネの目撃情報はなかった。

東京都23区では近年キツネの生息情報はない。東京タヌキ探検隊!データベースでの唯一の目撃情報は、2010年、埼玉県との境界線上でのものだけである。このキツネも定住場所は埼玉県側と推測される(DBN4212)。

東京タヌキ探検隊!へ寄せられた情報、新聞等で収集した情報をまとめると、23区近隣では多摩川、荒川、江戸川の河川敷やゴルフ場でキツネが目撃されている。

多摩川…多摩市、2012年、DBN2368
荒川…戸田市、2011年、DBN1761
江戸川…千葉県野田市、2013年、DBN2644
ゴルフ場…埼玉県所沢市、2012年、DBN2048
ゴルフ場…稲城市、2015年、DBN3583
他…国立市、2013年、DBN2629

ただしいずれも23区からは遠い。最も近いのは荒川河川敷のもので、板橋区から約3km離れている。しかも板橋区から見ると対岸側になるので23区内に移動してくる可能性はかなり低い。

東京都23区近辺でのキツネの目撃場所は広大な草地であることが多い。 東京都23区内でそれに該当するのは多摩川、荒川、江戸川の河川敷ぐらいしかない。 より上流に生息するキツネが河川敷をつたって23区に到達するのは距離が長いため難しいと予想される。
23区でキツネが定住することは当分はありえないだろう。


■全国の目撃情報の集計

東京都23区以外の目撃情報についても報告する。いずれも2017年のみの集計である。

・2017年の事件

宮本は主に朝日新聞デジタルとGoogleアラートを利用してタヌキなどの記事をチェックしている。

大阪府堺市西区築港新町4丁の埋め立て地にタヌキ、イタチ、ヌートリアが生息していることが確認された。造成は2006年に終了しており、現在は広大な緑地となっているが人は入れない。この場所は海に突き出た場所で、タヌキたちは工場地帯を通過して到達したらしい。(DBN4572、朝日新聞デジタル、2017年1月17日掲載)

2017年7月13日夜、叡山電鉄出町柳駅(京都市左京区)で停車中の電車に2頭のタヌキ幼獣が乗車してきた。2頭はすぐに下車した。同駅近くの下鴨神社はタヌキたちが活躍する小説(テレビアニメにもなった)「有頂天家族」の主な舞台である。
叡山電鉄ではタヌキが線路内に立ち入って、電車に遅れが出ることがあるとのことである。(DBN4686、朝日新聞デジタル、2017年7月16日掲載)

メディアで取り上げられた事件ではなく、一般の目撃情報の中から非常に珍しい事例が報告された。2017年8月、大阪府堺市西区で木登りするタヌキが撮影された。タヌキが木に登るという確実な目撃情報はほとんどない。今回の事例では、タヌキ幼獣2頭がマツに登った。マツの幹はツメを引っかけやすく、幹が少し傾いていたため木登りはそれほど難しくはなかっとようだ。降りる時は頭を上にしたままお尻からずり降りたとのことである。(DBN4685)

・都道府県毎の目撃情報数

下の表は都道府県毎と政令指定都市の目撃情報数である(2017年の目撃のみの集計)。目撃情報数が0件の自治体は省略した。首都圏や大阪府は目撃者本人からのメールによるものが多いが、それ以外の地域の情報は新聞などのメディアに掲載されたものが多い。
目撃情報数が増えれば、東京都23区のようにより詳細な分析が可能になる。東京都23区以外からの目撃情報もぜひ知らせてほしい。

●都道府県の目撃情報数(2017年)

タヌキ ハクビシン アライグマ アナグマ キツネ 不明 合計 全体の割合
北海道 1 1 0.26%
岩手県 1 1 0.26%
宮城県 0.00%
埼玉県 6 5 1 2 14 3.61%
千葉県 4 4 8 2.06%
東京都 107 190 16 6 2 11 332 85.57%
神奈川県 8 3 2 1 14 3.61%
福井県 1 1 0.26%
長野県 1 1 2 0.52%
愛知県 1 1 0.26%
京都府 1 1 2 0.52%
大阪府 2 1 3 0.77%
兵庫県 2 1 1 4 1.03%
奈良県 1 1 0.26%
徳島県 1 1 0.26%
福岡県 1 2 3 0.77%
都道府県合計 134 202 23 9 6 14 388 100.00%
動物毎の割合 34.54% 52.06% 5.93% 2.32% 1.55% 3.61% 100.00%

●政令指定都市の目撃情報数(2017年)

タヌキ ハクビシン アライグマ アナグマ キツネ 不明 合計 全体の割合
札幌市 1 1 0.26%
さいたま市 2 3 5 1.29%
千葉市 1 1 0.26%
東京都23区 94 175 13 4 11 297 76.55%
東京都多摩地区 13 15 3 2 2 35 9.02%
横浜市 2 2 4 1.03%
川崎市 4 1 1 6 1.55%
相模原市 1 1 0.26%
京都市 1 1 0.26%
堺市 2 2 0.52%
神戸市 2 2 0.52%
福岡市 1 2 3 0.77%

・東京タヌキ探検隊!データベースの記録について

2017年末現在、記録された全目撃情報数は4877件。

下の表は2017年までの全記録の集計である。

●都道府県の目撃情報数(全記録)

タヌキ ハクビシン アライグマ アナグマ キツネ ニホンイタチ チョウセンイタチ ジャワマングース アカハナグマ 不明 合計 全体の割合
北海道 5 6 11 0.23%
青森県 3 1 4 0.08%
岩手県 1 1 2 0.04%
宮城県 1 1 2 4 0.08%
秋田県 1 1 0.02%
山形県 1 1 0.02%
福島県 3 1 1 2 7 0.14%
茨城県 1 3 1 1 1 7 0.14%
群馬県 3 4 7 0.14%
栃木県 3 1 4 0.08%
埼玉県 55 35 11 4 2 107 2.19%
千葉県 52 50 6 4 4 2 118 2.42%
東京都 1717 2153 160 34 8 3 1 44 4120 84.48%
神奈川県 123 88 28 2 2 243 4.98%
新潟県 2 2 0.04%
富山県 2 2 0.04%
石川県 2 2 4 1 9 0.18%
福井県 1 1 0.02%
山梨県 2 1 3 0.06%
長野県 4 2 1 1 2 10 0.21%
岐阜県 1 1 2 0.04%
静岡県 6 2 1 1 1 11 0.23%
愛知県 5 4 3 2 14 0.29%
三重県 2 1 1 4 0.08%
滋賀県 1 2 1 4 0.08%
京都府 4 11 15 0.31%
大阪府 33 1 21 1 1 9 66 1.35%
兵庫県 4 14 2 1 21 0.43%
奈良県 2 6 8 0.16%
和歌山県 1 1 1 1 4 0.08%
鳥取県 1 1 1 3 0.06%
島根県 1 1 1 3 0.06%
岡山県 1 1 0.02%
広島県 1 1 2 0.04%
山口県 4 4 0.08%
徳島県 2 2 0.04%
香川県 2 2 0.04%
愛媛県 1 1 2 0.04%
高知県 1 1 0.02%
福岡県 12 1 14 2 1 30 0.62%
佐賀県 1 1 0.02%
長崎県 1 1 0.02%
熊本県 1 1 2 0.04%
大分県 2 2 1 5 0.10%
宮崎県 1 1 2 0.04%
鹿児島県 1 3 4 0.08%
沖縄県 0 0.00%
都道府県合計 2066 2352 287 56 43 7 13 3 1 49 4877 100.00%
動物毎の割合 42.36% 48.23% 5.88% 1.15% 0.88% 0.14% 0.27% 0.06% 0.02% 1.00% 100.00%

●政令指定都市・東京都多摩地区の目撃情報数(全記録)

タヌキ ハクビシン アライグマ アナグマ キツネ ニホンイタチ チョウセンイタチ ジャワマングース アカハナグマ 不明 合計 全体の割合
札幌市 1 1 0.02%
仙台市 1 1 0.02%
さいたま市 15 10 1 26 0.53%
千葉市 1 7 8 0.16%
東京都23区 1554 1988 141 21 1 3 1 42 3751 76.91%
東京都多摩地区 163 165 19 13 7 2 369 7.57%
横浜市 57 47 17 121 2.48%
川崎市 42 22 5 1 2 72 1.48%
相模原市 5 9 14 0.29%
新潟市 1 1 0.02%
静岡市 1 1 1 1 4 0.08%
浜松市 1 1 0.02%
名古屋市 1 1 0.02%
京都市 4 4 8 0.16%
大阪市 12 2 14 0.29%
堺市 13 1 2 16 0.33%
神戸市 2 2 1 5 0.10%
岡山市 0 0.00%
広島市 0 0.00%
北九州市 1 1 2 0.04%
福岡市 8 12 2 22 0.45%
熊本市 1 1 0.02%
八王子市 19 13 2 1 1 36 0.74%
立川市 7 8 1 16 0.33%
武蔵野市 12 21 1 34 0.70%
三鷹市 20 14 2 3 1 40 0.82%
青梅市 1 1 0.02%
府中市 8 9 2 2 21 0.43%
昭島市 4 3 7 0.14%
調布市 10 13 23 0.47%
町田市 25 7 5 4 2 43 0.88%
小金井市 4 17 21 0.43%
小平市 9 7 16 0.33%
日野市 9 4 2 15 0.31%
東村山市 1 3 1 5 0.10%
国分寺市 2 12 1 15 0.31%
国立市 1 1 1 3 0.06%
福生市 1 2 3 0.06%
狛江市 4 3 7 0.14%
東大和市 2 2 0.04%
清瀬市 2 2 0.04%
東久留米市 1 6 1 8 0.16%
武蔵村山市 5 3 8 0.16%
多摩市 6 4 1 1 12 0.25%
稲城市 9 2 1 1 13 0.27%
羽村市 2 2 0.04%
あきる野市 1 1 2 0.04%
西東京市 2 10 12 0.25%
瑞穂町 0 0.00%
日の出町 1 1 0.02%
檜原村 1 1 0.02%
奥多摩町 0 0.00%

調査方法の性質上、人口が多いほど目撃数も多くなる傾向があることに注意してほしい。

これまでに目撃情報が無い都道府県は沖縄県のみ、政令指定都市では岡山市、広島市、東京都多摩地区では瑞穂町、奥多摩町である。

全データのうち、写真や動画などがあるものは1225件(25.1%)である。


■今後の課題

報告書は毎年同じような内容ではあるが、最新の情報を提供するためにも定期的な報告は継続していく。
目撃情報の収集は今後も引き続き行っていく。「東京タヌキ探検隊!」を名乗っているが、タヌキだけではなく、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネなども平等に扱っている。また地域も日本全国を対象にしている。皆さまのご協力をお願いします。

宮本は現在、仕事の都合で調査研究のための時間がとりにくい状況である。しかし目撃情報の収集と分析、センサーカメラの設置などはこれまで通り行っている。時間がかかるフンの分析は停止しており、詳細な報告はすぐにはできない。

東京都23区のタヌキなどの目撃情報の報告は次回は2019年の早い時期を予定している。今回と同じく直近の3年間が対象となる。

東京都23区でのアブラコウモリを調査する「東京コウモリ探検隊!」も引き続き活動を行っている。アブラコウモリはタヌキなどよりも観察は非常に簡単である。ぜひ多くの方に参加していただきたい。


■謝辞

この調査研究は全国の皆さまから寄せられる目撃情報によって成り立っている。情報を寄せていただいた多くの方々にまず感謝をしなければならない。フンの回収やセンサーカメラの設置など特別のご協力をいただいた方々にも深く感謝する。

そして都会でしっかりと生活し、時々私たちの前に姿を見せてくれるタヌキやハクビシンやアナグマやキツネたちにも感謝する(残念ながらアライグマは外来生物なので感謝はできない)。


■文献

東京タヌキ探検隊!のホームページ

http://tokyotanuki.jp

東京タヌキ探検隊!の過去の報告書は次のページから見ることができる。

http://tokyotanuki.jp/reports.htm

東京コウモリ探検隊!のホームページ

http://tokyobat.jp

[文献1] 「東京都23区内のタヌキ、ハクビシン、アライグマの目撃情報の集計と分析(2012年1月版)」 「考察1:練馬区のパラドックス」の項を参照のこと
http://tokyotanuki.jp/docs/tanuki1201.htm
宮本 拓海、2012年

[文献2] 東京タヌキタイムズ(東京ハクビシンタイムズ) 2015年4月号「ハクビシンは冬眠してるのかも仮説/目撃情報数の季節変化はこれで説明できるか?」
http://tokyotanuki.jp/times/tanukitimes201504.pdf
宮本 拓海、2015年

[文献3] 「東京都23区内のタヌキの生息数の推定(2012年版)」
http://tokyotanuki.jp/docs/tokyotanuki1208.pdf
宮本 拓海、2012年
「東京都23区のタヌキの生息数は約1000頭」ということは広く知られつつあるが、その根拠を示しているのは宮本だけである。


■使用地図

本稿に掲載した地図は国土地理院発行の以下の数値地図を複製・使用した。
「数値地図5mメッシュ(標高) 東京都区部」
「数値地図50mメッシュ(標高) 日本II」


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