東京タヌキ探検隊タイトル

1年の生活

ねぐらと巣

「ねぐら」と「巣」は同じように見えるが区別して考えなければならない。
「ねぐら」は眠るための場所である。
「巣」は子どもを出産し、育てる場所である。
巣は出産・育児の期間中しか使われない。基本的に場所は固定している。雨がよけられる、多数の幼獣を収容できる空間がある、安全性が高い、といった条件が必要になる。
ねぐらは年間を通じて使われる。巣ほど条件は厳しくない。
同じ場所をねぐらにも巣にも利用することがある。

東京都23区では巣の場所を探すのは難しい。目撃例や調査からわかった巣の場所としては、側溝・暗渠、民家の床下がある。樹木の樹洞を利用しているのではないかと思われる例もある。

冬眠

日本のタヌキは冬眠や冬ごもりはしない。
ただ、東京タヌキの目撃例を分析すると冬季は目撃が少なくなることから活動が不活発になっている可能性はある(毎日外出しないとか、行動範囲が狭くなるといった理由が考えられる)。

カレンダー

以下で紹介するのは東京都23区での例である。地域によって出産時期、毛の生え替わり時期は異なっているので、このまま当てはめてはいけない。

子育てで見る1年

●3月ごろ
妊娠(妊娠期間は約60日)

●5月
5月上旬前後に出産する。出産は年に1回のみ。
仔の数は普通は4〜8頭。
生まれたばかりの幼獣は全身まっ黒で、「犬の赤ちゃん」にも「クマの赤ちゃん」にも見える。幼獣はしばらくは巣から出ることはない。

●6月
生後1ヶ月ほどでタヌキらしい模様が現れる。
生後1ヶ月ぐらいになると巣の外に出る。巣から離れる距離は次第に遠くなっていく。

●8月
幼獣の体格は成獣に近くなり、区別が難しくなる(体毛の長さもほとんど同じになるためでもある)。
※つまり、体格から成獣と幼獣の区別ができるのは5〜8月の間だけである。それ以外の時期に体格差があったとしたら、それは単なる個体差であって、年齢は関係ない。

●10月
幼獣が親から独立する。独立後は新たな定住場所を探して散らばっていく。
独立せずに、翌年の親の子育てを手伝う例(ヘルパー)もいる。

体毛で見る1年(成獣の場合)

●4月
冬毛が抜け始める。

●7月
残った冬毛が少なくなり、ぼさぼさした外見になる。
顔の左右両サイドの毛は最後まで残りやすい。

●8月
冬毛は完全に落ち、夏毛になる。

●10月
徐々に毛が長くなり始める。幼獣も同じである。

●12月
冬毛が完成する。幼獣も同じである。

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