東京タヌキ探検隊タイトル

習性

立ち止まりじっと見る

タヌキは関心のある対象を、立ち止まり、じっと見る習性がある。
同じような習性は陸上哺乳類では多かれ少なかれ見られる行動なので、特に珍しい行動というわけではない。
ただ、交通事故にあう例がタヌキでは多いことから、立ち止まる時間が他の動物より長いのかもしれない。

この習性は、時に「人間に慣れている」と印象を与えるが、実際は慣れとは関係ない。

この習性は「偽汽車」「迎え提灯」といった伝承とも関係する。

人に近づく?

タヌキの中にはエサが無くても人間に接近してくる個体がいる。10頭中1〜2個体以下、というのが宮本の直接観察での印象である。ただし、タヌキが近づくのは人間がじっとしているか、しゃがんでいるかの時だけで、人間から近づこうとすると距離をとる。

ほとんどのタヌキは人間に近づこうとはしない。

人間に近づくタヌキも「人間に慣れている」「人間に飼われていた」と思われやすいが、そのようなこととは無関係である。個性のひとつだと考えられ、特殊なことではない。

持ち去り

タヌキは靴、サンダルなどを持っていくことがある。これらは口にくわえるのにちょうどいい大きさだからであるようだ(しかも、かみごたえがある)。ボール(野球ボール、ゴルフボールなど小型のもの)にも興味を持つことがある。

タヌキ寝入り(擬死)

タヌキは驚いた時に死んだように動かなくなることがある。これを「タヌキ寝入り」という。
狩猟の時にタヌキを射殺したつもりが、いつの間にかいなくなってしまう、という話がある。
タヌキ寝入りは本当に気を失っているのか、死んだふりをしているのかはわかっていない。

なお、宮本はタヌキ寝入りを目撃したことはない。
また、東京タヌキ探検隊!のデータベースにも記録されていない。(疑い例が1件。静岡県。自動車にひかれて(実際には接触していなかったかもしれない)倒れて動かなくなったタヌキが、起き上がって去って行った、という事例。)

狩猟以外ではまず発生しないのではないだろうか。

感情表現

イヌは尾で感情表現をするが、タヌキは尾に限らず何らかの感情表現が観察されることはほとんどない。鳴くこともめったにない。そのため、イヌやネコと比べて感情を読み取ることが非常に難しい。

上野動物園の飼育担当者によると、驚くと尾を上げる、とのことである(「タヌキたちのびっくり東京生活」、宮本他著、技術評論社、2008年)。ただし、宮本はそれを確認したことがない。

鳴き声

タヌキはめったに鳴かない。鳴き声は小型犬に近い。

最もよく聞かれる鳴き声は「キャン」というものである。小型犬の鳴き声によく似ている。タヌキの幼獣がじゃれあっている時、小競り合いの時に「キャン」と鳴く。音量は大きいので、遠くでも聞こえる。

「クー」「クーン」「キューン」といった鳴き声もあるが、音量は小さいので近くでないと聞こえない。

ある個体は変わった鳴き声をした。複数のタヌキの幼獣がキャットフードに集まっていた時のこと、1頭のタヌキは横から割り込まれると「キャウウウ」という鳴き声を出した。この鳴き声は食べながら発しており、それほど大きな声ではない。この鳴き声はこの個体だけしか出さないようで、個体識別の役に立った。

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