東京タヌキ探検隊タイトル

ためフン

タヌキは同じ場所で繰り返しフンをする習性がある。この習性を「ためフン(溜め糞)」といい、その場所を「ためフン場」という。
日本国内で、タヌキ大の動物がためフンをする習性は他にはないため、ためフンはタヌキの存在を間接的に証明するものとなる。

ためフンの大きさはさまざまで、フンが数個の時もあれば直径数十cmになることもある。利用個体数、利用頻度が多いほどためフンは大きくなる。夏場は分解が速く、小さなためフンは数日で消失することがある。分解が遅い冬の方が長期間残りやすい傾向がある。

ためフン場は1家族だけではなく、複数家族が利用することもある。そのため、複数家族が長期間利用したためフン場は数mの範囲にわたってその痕跡が残っていることがある。(固くなってしまったフ ンそのものがある他に、消化できなかったもの、例えば甲殻類の外殻や植物種子などが散乱している。)
ためフンはタヌキの行動範囲を他個体に示す役割があると思われる。ただし、タヌキの行動範囲はその中に他家族を入れさせないというような排他的な「なわばり」ではない。

タヌキはフンの内容物から情報を得て、食べ物探しに利用しているとも考えられている(例えば、フンの中に果実の種子があれば、近くにその樹木があると推測できる)。
また、タヌキのフンには糞虫などの昆虫類、節足動物が集まってくる。タヌキはそれらも食べているようだ。ためフン場が同時に食事場所にもなっているということである。

タヌキのためフンの内容物を分析すれば、何を食べているかが部分的にではあるが知ることができる。そのため、ためフンを調べることはタヌキ調査の基本のひとつである。
フンの内容物は主に消化しにくいものが含まれる。昆虫の断片(脚、翅など)、羽毛、骨、種子などである。

※2011年春以降に「ためフン分析マニュアル」を公開する予定です。ためフンについてはその中でも取り上げます。

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