東京タヌキ探検隊タイトル

分類

分類は上位から「綱」「目」「科」「属」「種」「亜種」となっている(これらの途中にも細分された分類方法がある)。「種」とは動物の種類そのものを指す最も基本的な分類。「タヌキ」は種の名前である。以下では「種」以外について下位から説明する。

分類は時代によって変化する。これは新しい分類方法の発見(最近では遺伝子解析)や分類基準の変更があるからである。タヌキの亜種の分類は英語版Wikipediaのものが新しいようだが、これが最新である保証も正確である保証もない。よって、この亜種の項については調べ学習には適さない。この項を引き写して勉強したつもりになってはいけないのだよ、学生たち。

日本国内のローカルな(地域を限定した)タヌキについて述べる場合は、「亜種」については無視してかまわない。

「東京タヌキ」の名称は単に地域名を冠しただけのものにすぎず、このような分類があるわけではない。

亜種

亜種とは種を細分する分類である。それぞれの亜種は地理的に隔離されており、自然環境下では交雑することはない。同じ種ならば亜種間での交雑は可能である(つまり子孫を残すことができる)。
それぞれの亜種は気候やその他の自然条件のために外見が異なることがある。タヌキの場合、エゾタヌキはホンドタヌキよりも体がやや大きい。

日本国内ではホンドタヌキとエゾタヌキの2亜種が生息しているとされる。

ホンドタヌキ
学名:Nyctereutes procyonoides viverrinus
本州、四国、九州に生息する(付近の島嶼を含む)。
ホンドタヌキをヨーロッパに紹介したのはシーボルトである。ただし、シーボルトは多数の日本産動植物の標本をオランダ(ライデン博物館)に送りだしており、タヌキはその中の1種に過ぎない。シーボルトが送りだした動物標本にはトキ、ニホンオオカミ、オオサンショウウオなどが含まれており、これらの方が非常に有名である。

エゾタヌキ
学名:Nyctereutes procyonoides albus
北海道に生息する(付近の島嶼を含む)。ホンドタヌキと比べて、体が大きい、毛が長いなどの違いがある。


英語版Wikipedia(2010年現在)には以下の亜種が紹介されている。

Nyctereutes procyonoides koreensis Mori, 1922
 生息地:朝鮮半島
Nyctereutes procyonoides orestes Thomas, 1923
 生息地:中国雲南地方
Nyctereutes procyonoides ussuriensis Matschie, 1907
 生息地:ロシア(ウスリー地方、アムール地方)、中国東北部、朝鮮半島
Nyctereutes procyonoides viverrinus Beard, 1904
 生息地:日本
Nyctereutes procyonoides procyonoides Temminck, 1838
 生息地:その他のアジア

ここではホンドタヌキとエゾタヌキは同一の亜種と見なされている。


「野生イヌの百科(第2版)」(今泉忠明、データハウス、2007年)によると「ELLERMAN & MORRISONSCOTT, 1966、M. W. Fox, 1975らは4〜6亜種を認めている。」として以下の亜種を掲載している。

N. p. albus BEARD, 1904 (=N. p. viverrinus?)
 エゾタヌキ、生息地:北海道
N. p. amurensis MATSCHIE 1907 (=N. p. ussuriensis?)
 生息地:アムール川流域
N. p. kalininensis SOROKIN. 1958
 カリーニンタヌキ、生息地:モスクワ北西部
N. p. koreensis MORI, 1922
 コウライタヌキ、生息地:朝鮮半島 中・南部
N. p. orestes THOMAS, 1923
 ウンナンタヌキ、生息地:中国雲南地方
N. p. procyonoides (GRAY. 1834)
 タイリクタヌキ(ビンエツタヌキ)、生息地:中国東部
N. p. sinensis BRASS 1904 (=N. p. procyonoides?)
 生息地:中国ヤンツー渓谷
N. p. stegmanni MATSCHIE 1907 (=N. p. procyonoides?)
 生息地:中国南東部
N. p. ussuriensis MATSCHIE, 1907
 ウスリータヌキ、生息地:ウスリー川下流域、北朝鮮
N. p. viverrinus TEMMINCK, 1844
 ニホンタヌキ、生息地:本州、四国、九州

タヌキ属

タヌキはタヌキ属に分類される。
タヌキ属に含まれるのはタヌキのみ。

属名「Nyctereutes」を命名したのはコンラート・ヤコブ・テミンク(オランダ、1778-1858)。「日本動物誌」(1839年)にホンドタヌキを「Nyctereutes viverrinus」と記載した。
タヌキに学名が与えられたのはその前の1834年、イギリスの動物学者ジョン・エドワード・グレイ(1800-1875)によってだが、この時は「イヌ属」に分類されていた(このタヌキは中国産)。

イヌ科

タヌキ属はイヌ科に分類される。
イヌ科には以下の動物が含まれる。

タイリクオオカミ、(イエイヌ)、コヨーテ、ヨコスジジャッカル、キンイロジャッカル、セグロジャッカル、アメリカアカオオカミ、アビシニアジャッカル、ホッキョクギツネ、ベンガルギツネ、ブランフォードギツネ、ケープギツネ、ハイイロギツネ、コサックギツネ、チベットスナギツネ、シマハイイロギツネ、オグロスナギツネ、オジロスナギツネ、スウィフトギツネ、アカギツネ、フェネック、クルペオギツネ、チコハイイロギツネ、パンパスギツネ、コミミイヌ、セチュラギツネ、カニクイイヌ、スジオイヌ、タヌキ、タテガミオオカミ、ヤブイヌ、ドール、リカオン、オオミミギツネ
(「世界哺乳類和名事典」(今泉吉典、平凡社、1988年)による。種の分類も異なる説がある。)

イヌ科の分類には未確定のものがある。その一例はイエイヌの扱いである。これまではイエイヌはタイリクオオカミから分岐した別の種だとされてきた。しかし最近の研究ではタイリクオオカミもイエイヌも同じ種であるとされている。

他に絶滅種としてニホンオオカミがある(ニホンオオカミはタイリクオオカミの亜種とする説もある)。

イヌ科の特徴は長めの脚を持つ長距離ランナーということである。対照的にネコ科はやや短足の短距離ランナーである。両者のハンティングのスタイルはまったく異なっている。
タヌキはイヌ科の中では短足だが、これは積極的に狩りをしない雑食性の食性が反映したものとも考えられる。

食肉目(ネコ目)

イヌ科は食肉目に分類される。
食肉目はその名の通り動物食動物が多い。タヌキのような雑食性動物も、ジャイアントパンダのようなほぼ植物食動物も含まれているが、祖先は動物食動物であった。
最近は文部科学省の方針で「ネコ目」という用語が教育現場などで推奨されているが、食肉目にはイヌ、クマ、イタチ、ネコ、アシカ、アザラシなど多様な動物が含まれており、「ネコ」で代表するには無理があるし、誤解もされやすい。
(霊長目はすべてサルなので「サル目」と呼んでも違和感はない。)

食肉目には以下の科が含まれる。その科の代表的な動物も記した。
アシカやアザラシなどの海獣類も食肉目である。
分類は進化の系統を反映しており、同じ分類群に含まれる生物は同一の起源を持つ。

・イヌ科
タイリクオオカミ、コヨーテ、アカギツネ、フェネック、セグロジャッカル、リカオン、タヌキ

・クマ科
ツキノワグマ、ヒグマ、ホッキョクグマ、ジャイアントパンダ

・レッサーパンダ科?(独立した科にするか議論がある)
レッサーパンダ

・アライグマ科
アライグマ

・イタチ科
ニホンイタチ、オコジョ、 アメリカミンク、フェレット、 テン、 アナグマ、シマスカンク、ユーラシアカワウソ、ラッコ

・ジャコウネコ科
ハクビシン

・マングース科
ジャワマングース、スリカータ(ミーアキャット)

・ハイエナ科
ブチハイエナ

・ネコ科
イエネコ、オオヤマネコ、ライオン、トラ、ヒョウ、チーター

・アシカ科
カリフォルニアアシカ、オットセイ、トド

・セイウチ科
セイウチ

・アザラシ科
ワモンアザラシ、ゴマフアザラシ、アゴヒゲアザラシ、ミナミゾウアザラシ

<スポンサー欄>