東京タヌキ探検隊タイトル

タヌキに出会ったならば

東京都23区内のあちこちでタヌキが目撃されていますが、まれに好ましくない事態になることがあるようです。もしどうすればいいのかわからない場合は以下の文章をどうぞ指針にしてください。
※このページに書いてあることはハクビシンについてもほぼそのまま当てはまります

※「杉並タヌキおつきあいガイドライン(私案)」もご覧ください。杉並区以外の都市部でも共通の指針になります。

3つの原則

・近づかない

・騒がない

・食べ物を与えない

タヌキはずっと以前からその周辺で暮らしていたはずです。「近づかず」「騒がず」そっと静かに見守るようにしましょう。
また、そこでタヌキが暮らしているということは食べ物も十分に得られている証拠です。人間がわざわざ「食べ物を与える必要はありません」。
人間は何事もなかったように普段通りにするのが一番です。

駆除も捕獲も必要ありません

※タヌキに限らず野生の哺乳類・鳥類を許可なく捕獲することは鳥獣保護法違反です。東京都23区内のタヌキも間違いなく野生の動物です。絶対に捕獲しないでください。


タヌキは東京都23区内にも普通に生息している野生動物です。飼育されていたペットが逃げ出したものではありません。以前からずっとそこで生活してきたのです。これまで特に問題が発生していないのならば(タヌキの存在自体がほとんど知られていないのならば問題などなかったも同然なのですが)、駆除する必要はまったくありません。また、タヌキは希少な動物でもありませんので保護する必要もありません。


タヌキの親は見あたらないのに子どもだけがいる、という状況でも何か対策をする必要はありません。何もせず、そのままにしておいてください。親がいないように見えても、すぐ近くで様子を見守っているはずです。また、タヌキの子どもが巣穴の外に出るぐらいに成長しているのならば、ある程度は自力で食べ物を探せますし(足りない分は親が運んできます)、ネコやカラスといった外敵に襲われるおそれも少なくなっています。それでも不幸な事故・事件で死亡することがあるかもしれませんが、そういったリスクも含めて全体の生息数のバランスが維持されていると考えてください。
より多くの子どもが生きのびるのはうれしいことにも思えますが、その結果タヌキの生息数が過剰になる可能性もあり、人間社会への悪い影響(園芸植物へのいたずら、ためフンのにおい、床下・天井裏への侵入、感染症など)がどう出現するのか予測できません。
タヌキにとって一番良いのは、現在の環境をできるだけ維持してあげることです。


タヌキをつかまえて、より環境の良い郊外に放してあげよう、という意見をきくことがありますが、これにはいくつかの問題点があります。

・タヌキを見知らぬ土地に運んで放すのはタヌキにとって幸せなことでしょうか?

・移動先に既にタヌキたちがいた場合、問題は起こらないでしょうか?

・移動先の地域・自治体はこころよく引き受けてくれるでしょうか?

・都会のタヌキは代々その場所近辺で暮らしてきました。そこには食べ物も繁殖の場所もあるのです。住み慣れた場所から連れ去る必要があるのでしょうか?

・タヌキを遠くへ移動させても、近辺から別のタヌキがまたやってくる可能性は高いです。その時も同じことをしますか? また移動させてもまたまたタヌキはやって来るでしょう。永遠に同じことの繰り返しになるでしょう。

・東京都23区内には1000頭以上のタヌキが生息しています。それだけの数を移住させようというのは生態系の破壊になってしまうのではないでしょうか?

・上にも書いたように無許可の捕獲は鳥獣保護法違反です。人的に重大な被害が発生していない状況ではおそらく捕獲の許可はでないでしょう。

その場所に普通に生活しているタヌキたちをわざわざ別の所に移動させる必然性はまったくないと私は考えます。

タヌキは安全な動物というわけではありません

「近づかない」「食べ物を与えない」とはこういうことです。
ちなみに食べ物が無くても無理に近づくとかみつきます。
タヌキは野生の獣(けだもの)だということを忘れないでください。

↑実際に試してみました。非常に危険ですので絶対に真似しないでください!! 特にテレビ局!!
2010年8月撮影。革手袋を着用するなど安全を確保して撮影しています。 このタヌキは同年の「お母さん」です。革手袋をしても痛いです(T_T)。素手だと確実に流血です。

例外事項

※以上のように書くと、「タヌキには絶対手を出すべからず」と思われるかもしれませんが、例外もあります。

それは例えば「三面コンクリート張りの河川に落ちて脱出できなくなった」というケースです。深く掘られた三面コンクリート張りの河川に落ちてしまうと、タヌキは自力では脱出できなくなります。食べ物の確保も困難になります。生き延びるには人間が投げ与える食べ物に頼らざるを得ませんが、これは自然な状態とは言えません。このような場合は救出してかまわないと私は考えます。

ただし、上にも書いたように野生哺乳類の無許可捕獲は鳥獣保護法違反です。法的な問題をクリアーするためには、担当部局である東京都環境局に相談してください。

たいていの人はこういう場合、警察か消防署か区役所に届けるようですが、これらは法的には捕獲の権限はありません。勝手に捕獲したら厳密には違法行為になります。

また、捕獲作業そのものについても、警察・消防署・区役所には捕獲のノウハウはありませんので、かなり難儀することでしょう。
東京都環境局にアドバイスを仰いだ方がより確実と思われます(作業にたずさわるのは都職員ではなく専門家・業者になることでしょうが)。

このように、法的問題、捕獲のノウハウのことを考えた場合、やはり東京都環境局に連絡するのが最も妥当なことと思われます。


もうひとつ、「タヌキの幼獣が側溝に落ちて出られなくなってしまった」という例もあります。生後1ヶ月程度の小さい時期に起こる可能性があります。 これも親タヌキが近くにいる可能性が高いものの、人間を警戒して現れなかったりすることもあります。まずは様子をこっそり観察してみてください。
親が現れる様子がない場合は、幼獣を側溝から救出することも検討してください(これも厳密には鳥獣保護法に抵触する可能性があります)。

救出方法は、幼獣を捕まえて、その場で解放します(また側溝に落ちないように注意しながら)。この時、かみつかれる可能性がありますので、厚手の手袋などを用意してください。
また、側溝から自力で上がれるように、木の板を斜めに側溝に差し込むという方法もあります。タヌキのための昇降口を設置してあげるのです。

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