東京タヌキ探検隊タイトル

小学校の授業向けのヒント

小学校の総合の学習でタヌキを題材にする例があり、宮本もそれに協力したことがあります。ここでは授業案や実践例などを簡単に紹介します。ですが、宮本は教員ではありませんので緻密な授業計画のようなものは書けません。具体的な授業内容は、やはり現場の先生方が、地域事情や指導の方針などいろいろ考慮して工夫をこらしてください。

●宮本の都合(2015年現在)

宮本は会社員なので、さすがに長期間授業につきあうことは難しいです。ですので、授業は学校側でどんどん進めてください。その過程のどこかで宮本が参加するという形になるでしょう。打ち合わせやセンサーカメラ設置は土日祝日希望です。

場所は新宿から片道2時間以内程度を希望します。東京都内は全域(もちろん島嶼部は無理)、横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市あたりは範囲内です。

報酬は学校の事情にお任せします。少なくとも交通費分は支給していただくとありがたいです。打ち合わせ、センサーカメラ設置、授業当日など2〜4回現場に行くことになります。

各教科との関連

タヌキと学校教育は関係がないようですが、それなりに関連性はあります。

●理科…哺乳類の生態、生態系など。
●社会…地図の読み方、作り方。地域への理解を深める。
●国語…インタビューをする。
●算数…統計学の基礎(アンケート調査の実施、集計)。
●図工…対象を正確に観察して描く。

授業案と実践例

●調べ学習

タヌキの本は意外と少ないです。ネットの情報もちゃんとしたものは限られています。宮本の著書や東京タヌキ探検隊!のホームページをご利用ください(小学生にはちょっと難しいの文章ですが)。

タヌキだけでなく、類似動物も調べて比較するといいでしょう。類似動物とはハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネです。さらにイヌ、ネコも含めていいかもしれません。

●動物園の見学

夜行性のタヌキそのものを見ることは難しいので、動物園での見学はお勧めです。

見学に行く前に(あるいは最初の授業の時に)、タヌキの絵を描かせてみるのもいいかもしれません。おそらく、本物のタヌキとは全然違うものを描いてしまうでしょう。動物園で実物を見て描くと、特徴を正確にとらえる訓練になります。

動物園ではついでに似た動物も観察しましょう。どこがタヌキと違っているかをよく見てください。

飼育員から話を聞くのもお勧めです。食べ物(内容、量、回数)、1日の生活、個体の見分け方などはぜひ聞いてほしいです。

動物園の獣医師から話を聞くのもいいでしょう。交通事故、疥癬症がタヌキが運ばれてくることがあるからです(横浜市では病気・負傷の野生動物を収容・治療しています)。

町中の動物病院ではほとんどの患者はペットなので、タヌキの話は難しいと思います。

●タヌキ地図

学区の地図にタヌキの目撃位置を記していきます。どこでよく目撃されるかがわかります。
目撃情報は、家族や近所の人にインタビューをして集めます。情報の収集と集計は統計学の基本です!

ただ話を聞くのではなく、記録用紙を準備してインタビューしましょう。
記録用紙には少なくとも、目撃の年月日、時刻、場所、動物名、頭数、行動の様子といった項目名を印刷しておきます。

ためフンがあるかどうかも必ず聞くようにしてください。
対象にはタヌキ以外の動物を含めてかまいません。タヌキに限らず、いろいろな動物が自分たちの住む町にいることを発見できるでしょう。ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネあたりは必ず含めてください。
昆虫や鳥などはどこにでも現れるので除外した方がいいかもしれません。ただし、ツバメやスズメの巣は調べてもいいかもしれません。地元事情を考えて対象を決めてください。
野良猫、野良犬は野生動物とは言えないので除外します。

目撃情報が集まったら地図の上に色分けして印をつけていきます。シールなどを利用するとよいでしょう。色が多くなると大変なので、鳥類、昆虫類はそれぞれ同じ色にまとめてかまいません。

目撃情報をさらに集める方法としては、タクシー会社に依頼する方法があります。タクシーは夜も走っているので意外とよく目撃しています。タクシー会社に地図とシールを渡して、目撃場所にシールを貼ってもらうのが簡単な方法です。
行政の清掃部門にきく方法もあります。交通事故などの動物死体の処理もしているからです。ただし自治体によってはちゃんと統計をとっていないところもあります(動物を分類していないことがある)。

●足跡探し、ためフン探し

足跡もためフンも探し出すのは難しいです。宮本でもいきなり現場に行って数時間で発見するのは難しいことです。
子どもたちは危ない場所にも入っていくことがあるのであまり無理する必要はありません。
足跡もためフンも、意外と身近な場所にあったりします。タヌキ地図での情報集めの過程で見つかる確率の方が高いでしょう。

●フンの分析

フンの分析はかなり細かい作業なので小学生にはお勧めできません。内容物は昆虫の断片だったりするので、かなりの知識がないと正体はわかりません。
また、器具として実体顕微鏡もあった方がいいでしょう。
高校の部活動向けのレベルと思ってください。

フンの内容物は、宮本が写真をいろいろと持ってますのでそれを見せることができます。

●センサーカメラ

センサーカメラは安い物ではありません。さすがに学校で購入することは難しいでしょう。宮本が2台所有しているので、それを使ってください。センサーカメラは1〜2週間設置します。

設置場所の候補は先に見つけておいいただくとありがたいです。土地所有者の了解も事前にとっておいてください。

なお、撮影に成功するかどうかは運次第です。現在のところ成功率は50%を超えています。
タヌキの通り道が見つかるかどうかが成功のカギです。これもタヌキ地図の情報集めにかかっています。

●宮本の話

宮本が来校して話をします。話の内容は、東京タヌキのこと、その調査のことが中心になるでしょう。ムービーや写真も見せることができます(宮本持参のパソコンをプロジェクター、大型テレビにつなぎます)。
センサーカメラの結果発表もすると盛り上がります。
タヌキ地図や現場下見などで、タヌキの生息状況はだいたいわかりますので、その話も盛り込みます。

話の内容は事前にある程度決めておいた方がありがたいです。こちらも準備もできますので。
質疑応答をメインにしてもかまいません。この場合も事前に質問リストがあればありがたいです。

●屋外授業

屋外で自然観察をする時に問題なのが人数です。講師1人が一度に相手にできるのは20人以内が理想的です。そのため、何十人という児童がいると複数の講師が必要ですが、宮本は1人で活動しているためそれができません。

条件によっては可能であるという実例を。これは横浜市立川井小学校での授業での例です。
同小学校5年は約30人のクラスが2つです。そして、歩いて片道10分ほどで雑木林に行ける距離です。
片方のクラスは雑木林に引率し、宮本が20分ほどの簡単な授業をします。もう片方のクラスは教室に残り、担任の先生がタヌキ関係の授業をします。雑木林の授業が終わる頃に、教室組のクラスが入れ替わりに雑木林に来て、宮本が担当。雑木林から帰ったクラスは教室で授業です。
このような方法もあります。でもやはり人数が多いと大変ですね!

ちなみに、この時の宮本の屋外の授業の内容は次の通りでした。
・センサーカメラを設置した場所の説明(なぜここに設置したか)
・落ち葉の下を調べて動物を見つける(児童にスコップを渡し、落ち葉をかきわけて探してもらいました。11月末でしたが、ヤスデ、ムカデ、ゴミムシなどを発見できました。つまりタヌキはこういう動物を食べているのです。)

●伝承

タヌキやキツネの伝承は多いですので、自治体や図書館で先生が調べてみるのもいいでしょう。
伝承は科学的とは言えませんが、かつてその地に間違いなく生息していたことを示しています。また、人間とのかかわりを示唆する内容の場合もあります。
動物学的タヌキをメインにしてほしいので、伝承ばかりを取り上げるのは望ましくありませんが、生徒たちの関心をひきつける題材にはなります。
また、伝承にも動物学的な意味を持つこともあるので、宮本に教えていただけるとありがたいです。

●CD-R提供

宮本の撮影した写真等の資料をCD-Rで提供します。授業でご自由にお使いください。内容はタヌキの写真、フンの内容物の写真、足跡の写真などです。

読み物

小学校の授業でも使えるような読み物を用意しました。

センサーカメラでタヌキの写真をとる

他の動物では?

タヌキは本物を目撃することが難しいのが問題です。もうちょっと目撃しやすい動物を選んだ方が子どもたちも関心を持ちやすいかもしれません。

鳥や昆虫は比較的どこでもいるので題材になりやすいでしょう。
例えばツバメの子育ては観察しやすい例です。
鳥の場合は水鳥も観察しやすいでしょう。カモ類、サギ類、カモメ類、カワウ、カワセミなどなどがいます。

これまでに協力した学校

授業計画や実践例を各学校が情報交換することで、さらに内容を充実させたり、新しいヒントが得られたりするでしょう。宮本に連絡をいただければ各学校の担当の先生の連絡先をご案内します。
宮本の連絡先メールアドレスは目撃情報連絡方法のページの一番下に記載しています。

●2010年度

横浜市立川井小学校 5年生
八王子市立みなみ野君田小学校 3年生

子どもたちに伝えたいこと

偉そうなことを言える立場ではありませんが…。
タヌキや自然を大切に、とかいうことは当たり前です。
もっと本質的なこと、それは「世の中にはまだまだわからないことがいっぱいある」ということです。学校で習う理科は(他の教科でも同じでしょうが)既にわかってしまっていることばかりなので、つまらないと思う子どももいるでしょう。でも、世の中はわからないことばかり。東京にタヌキやハクビシンがこんなにいるなんて誰も知らなかったのですから。謎を解き明かすこと、それが科学(理科)の面白いところです。
みんなが科学者になる必要はありませんが、子どもたちの中から謎に挑戦する人が出てくることを期待しています。

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