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141号(2020年9月) タヌキの法律

鳥獣保護法と動物愛護法

動物に関する法律は以前にも別の場所で書きましたが、またあらためて、ちょっと別の視点から書いてみようと思います。
特に、タヌキにとっての法律という視点で見ていきたいと思います。

日本での動物の法律で特に重要なものは

「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法」(略称は鳥獣保護管理法、鳥獣保護法)

「動物の愛護及び管理に関する法律」(略称は動物愛護管理法、動物愛護法)

の2つです。
どちらも環境省の管轄です。

さて、この2つの法律の違い、おわかりになるでしょうか。一見するとどちらも同じように動物を扱っているように見えますが…。
まずはそれぞれで「動物」をどう定義しているか見てみましょう。

「鳥獣保護法」ではこう定義されています。

第二条 この法律において「鳥獣」とは、鳥類又は哺乳類に属する野生動物をいう。

おや、どうやら爬虫類や両生類や昆虫などなどは含まれていないようです。しかも「野生」とあるのでペットは除外されます。
さらに見ていきましょう。

第二条(続き)
4 この法律において「希少鳥獣」とは、国際的又は全国的に保護を図る必要があるものとして環境省令で定める鳥獣をいう。
5 この法律において「指定管理鳥獣」とは、希少鳥獣以外の鳥獣であって、集中的かつ広域的に管理を図る必要があるものとして環境省令で定めるものをいう。
7 この法律において「狩猟鳥獣」とは、希少鳥獣以外の鳥獣であって、その肉又は毛皮を利用する目的、管理をする目的その他の目的で捕獲等(捕獲又は殺傷をいう。以下同じ。)の対象となる鳥獣(鳥類のひなを除く。)であって、その捕獲等がその生息の状況に著しく影響を及ぼすおそれのないものとして環境省令で定めるものをいう。

なんだかややこしくなってきました。
「希少鳥獣」と「指定管理鳥獣」は何らかの保護をすべき動物、「狩猟鳥獣」は文字通り狩猟の対象になる動物のことです。

次は「動物愛護法」での定義を見てみましょう。

ところが、同法ではなかなかその定義が出てきません。ようやく出てくるのは…。

第二節 第一種動物取扱業者
(第一種動物取扱業の登録)
第十条 動物(哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものに限り、畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用その他政令で定める用途に供するために飼養し、又は保管しているものを除く。以下この節から第四節までにおいて同じ。)の取扱業(動物の販売(その取次ぎ又は代理を含む。次項及び第二十一条の四において同じ。)、保管、貸出し、訓練、展示(動物との触れ合いの機会の提供を含む。第二十二条の五を除き、以下同じ。)その他政令で定める取扱いを業として行うことをいう。以下この節、第三十七条の二第二項第一号及び第四十六条第一号において「第一種動物取扱業」という。)を営もうとする者は、当該業を営もうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)にあつては、その長とする。以下この節から第五節まで(第二十五条第七項を除く。)において同じ。)の登録を受けなければならない。

長い!
簡単に言うと、哺乳類、鳥類、爬虫類となるのですが、ここでの定義は第一種動物取扱業が扱うものについてだけの話です。ちなみに第一種動物取扱業とは、ペット販売業者、ペットホテル業者、ペットレンタル業者、動物園などのことです。

さらに先を読むと、

第六章 罰則
第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2 愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
4 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

となっています。
突然ここで「愛護動物」という言葉が現れてくるのですが、これは要するに

「牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる」(人間が飼育しているかどうかは問わない)

「人間が飼育している哺乳類、鳥類、爬虫類」

ということです。やはり両生類や昆虫などなどは含まれていません。

このように、法律ではありとあらゆる動物を対象としているわけではありません。

以上だけでは、それぞれの法律が対象としている動物がわかりにくいのでもう少し説明しますと、

鳥獣保護法は野生動物(哺乳類、鳥類)

動物愛護法は飼育動物(哺乳類、鳥類、爬虫類)

を対象とします。
鳥獣保護法は名称に「狩猟」という言葉が入っているように、野生動物の狩猟を定めた法律が元になっています。
動物愛護法はペット業者のことが書かれていることからおわかりのように飼育動物が対象です。

タヌキの場合で言うと、
鳥獣保護法では狩猟鳥獣に含まれます。まあ、つまり、狩猟の対象になる動物となるわけです。
(「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則」の別表第二で指定)
ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネも同じです。
アブラコウモリ他、コウモリ類はすべて狩猟鳥獣ではありません。一方でコウモリ類は半数以上の種が希少鳥獣に指定されています。アブラコウモリは希少鳥獣ではありません。

動物愛護法では野生動物は対象外となります。
(人間が飼育している場合は対象になります。)
タヌキは、飼育が禁止されている「特定動物」(第二十五条の二)には含まれていませんので飼育は可能です。ペットとして飼いやすいかどうかは別の話です。
ハクビシン、アライグマ、アナグマ、キツネ、コウモリ類も特定動物ではありません。が、アライグマは別の法律「外来生物法」で飼育が禁止されています。

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