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123号(2019年3月) 東京都23区のタヌキの生息分布 御所グループ

ここからは東京都23区のタヌキの生息分布について解説していく。途中、中断をはさみながら進めるので最後まで行くのはかなり先になるかもしれない。
最初は東京都の中心部に生息するグループから始める。
※文体もいつものものから変えています。

生息分布地図

タヌキ生息分布図

Googleマップが開きます。

注意点

・「サブグループ」は継続的にタヌキが定住している地域を表す。

・「グループ」はサブグループを地理的にまとめたものである。血縁関係・家族関係があるという意味ではない。

・グループ、サブグループの名称は原則として地名を採用している。

・サブグループに含まれる生息数は決まっていない。ただし継続的に定住しているということは1つがい以上が生息していることを意味する。

・サブグループの領域外にはタヌキがまったく生息していないという意味ではない。サブグループの領域(境界線)は便宜的なものでしかなく、その外側にも当然タヌキは生息している可能性はある。サブグループの領域外にタヌキを見つけても自慢にはならない。

・サブグループの領域内ではタヌキが均一に分布しているわけではない。

・意図的に地図に載せていない個体群もある。存在が知られることで生息に影響があるのではないかと心配されるからである。逆にあえて公表することで注意を促している場合もある。

・この情報を元にタヌキを探しても発見できる確率はきわめて低いはずである。タヌキの生息密度は非常に低いためである。マスコミの皆さん、探しても時間のムダです。あきらめましょう。

御所グループ

御所グループは皇居など東京都心部に位置している。皇居、赤坂御用地、新宿御苑、明治神宮など皇室に関係する場所が主要なサブグループになっており、そこから「御所グループ」と命名した。

皇居、赤坂御用地、新宿御苑、明治神宮/代々木公園は東京都心にある巨大な緑地であり、東京都心の動物・植物生態系に大きな影響を持っている。ただし、これらの緑地は都市化された(人工的な建造物に埋め尽くされた)「海」に浮かぶ「島」のように位置している。そのため各サブグループは連続せずとびとびに連なっている。各サブグループ間は離れているが、がんばればタヌキが移動できる距離ではある。日常的な行き来は無理でも、まれに別のサブグループ領域に移動する個体はいるはずである。

東京都心というと世界的な大都市であるが、これらの巨大緑地を正しく評価しなければその自然生態系は理解できないだろう。「東京都心にタヌキなんかいるはずがない」と思ったとしたら、それは東京都心の自然生態系のことがわかっていないのである。

皇居サブグループ

このサブグループには東御苑、北ノ丸公園、皇居外苑(皇居前広場)も含まれる。内堀に囲まれた領域に一致する。
ただし皇居外苑は障害物がほとんどなく、見通しも良すぎるためタヌキにとっては生息しにくい場所である。
吹上御苑・西の丸は緑豊かな森林に覆われ、タヌキにとっては非常に良い生息環境と言える。

皇居のタヌキについては以下のページに情報をまとめている(赤坂御用地も含む)。

皇居のタヌキ関連情報

皇居にタヌキとハクビシンが生息していることが公式に確認されたのは2000年だが、そのしばらく前から目撃例はあったらしい。
「皇居内に移入されたハクビシンとタヌキについて」というタイトルの論文もあるようにタヌキ、ハクビシンは「移入された」つまり「人為的に持ち込まれた」と当時は考えられていたが(今もそう考えられているかもしれない)、私は皇居にはタヌキがずっと以前から継続的に生息していたと推測している。ハクビシンは近年、生息分布を拡大する中で皇居まで到達したと推測できる。

皇居のタヌキについては天皇陛下(論文執筆時。明仁天皇のこと)の論文(共同執筆)が有名で、ニュースでも取り上げられた。天皇陛下の論文は上記の「皇居のタヌキ関連情報」にリンクを掲載している。誰でも無料で読むことができる。

生息数は、論文「皇居におけるタヌキの食性とその季節変動」では最大14.5頭と算出しているが、実際にはさらに多いかもしれないと示唆している。なお、この算出には北ノ丸公園は含まれていない。
後述の赤坂御用地同様、20〜30頭以上が生息しているのではないだろうか。

皇居からはまれに敷地外に出てくるタヌキがいるが、どこから出入りしているのかははっきりわからない。タヌキがくぐり抜けられる穴がどこかにあるということだろうか。

皇居ランナーがタヌキやハクビシンに遭遇する可能性はあるはずなのだが、これまで報告例はない。

山王日枝神社サブグループ

山王日枝神社を中心に、国会議事堂、首相官邸、衆参議長公邸などを含むエリア。
国会議事堂、首相官邸周辺はマスコミ関係者が多いためかメディアで取り上げられる例もある。
山王日枝神社〜衆参議長公邸は高低差がある緑地で立ち入りできない領域もあり、タヌキには都合の良い生息地といえる。

「高低差がある緑地」はこの後もよく出てくるであろうキーワードなので解説しておく。
高低差がある地形、すなわち急斜面や崖がある場所は住宅などの建物を建てるには向かない場所である。そのためそのような場所は開発から取り残されやすく、緑地もそのままになることが多い。
緑地はタヌキの食べ物になる昆虫が生息する。また、植物群はタヌキの姿を隠し、ねぐらを提供することもあるだろう。タヌキにとっては都合のいい生息場所になりうるのである。多少の急斜面はタヌキにとっては問題にならない。人間にとっては近づくのも難しいことが多いが、それがタヌキの生活場所の安全にもなっている。
都市部でタヌキの生息地を推測する場合は「高低差がある緑地」は重要なポイントのひとつになる。

愛宕神社サブグループ

愛宕神社周辺でもタヌキの目撃例はある。生息数はかなり少ないようだ。
愛宕神社〜青松時の一帯は高低差のある緑地である。この領域に限れば人口も少ないため目撃される機会は少ないようだ。
もともとは山王日枝神社サブグループから来たものと思われる。

面積は非常に狭いが、都会の真ん中でもこれだけの緑地があればタヌキが定住できるという良い例である。

四谷サブグループ

北からJR市ケ谷駅、(JR線路沿い)、JR四ツ谷駅、上智大学、ホテルニューオータニなどが含まれる細長いエリア。江戸城外堀の一部にあたる。
かつての外堀がほぼそのまま緑地として温存されており、タヌキにとっては都合の良いエリアである。

JR四ツ谷駅では2011〜2012年に目撃が複数あり、当時、線路敷地にタヌキがすみついていたようだ。その後は目撃情報はないが、四ツ谷駅〜市ケ谷駅間の線路敷地・斜面に生息していることが予想される。

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